市販の医薬品育毛剤を調べてみた!

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薬局やドラッグストアでも「育毛剤」は目立つところの一角を占める人気のアイテムです。ただし、育毛剤ならどれでもいいのか?というとそのようなことはありません。

そこで今回は市販の医薬品の育毛剤というポイントに着目してみました。これから育毛剤を導入しようとする方はぜひ参考にしてください。

市販の育毛剤のカテゴリー

育毛剤には「医薬品」、「医薬部外品」、「化粧品」、「その他」に分類されていて、それぞれ使用する目的が異なります。「薬用」や「指定医薬部外品」は「医薬部外品」と同じカテゴリーになります。

それではそれぞれのカテゴリー別に育毛剤の使用目的を比較してみましょう。

  1. 医薬品:治療が目的
  2. 医薬部外品:予防が目的
  3. 化粧品:頭皮や毛髪のコンディションを整えるのが目的
  4. その他:上記以外の製品群

という違いがあります。

日本で最も多い脱毛は「AGA」

適切な育毛剤を選ぶために、まずは「脱毛」を正しく知るところから始めましょう。日本で一番多い脱毛は「AGA(男性型脱毛症)」で、脱毛症全体の85%以上を占めています。

AGAは名前からも分かる通り、男性特有の脱毛症で主な原因は

  • 加齢からくる男性ホルモンの分泌量低下
  • 精神的なストレスからくる男性ホルモンのバランス異常
  • 生活習慣の乱れからくる男性ホルモンのバランス異常

です。

AGAの発症パターン

それではAGAの発症パターンをフローにしてみましたので参考にしてください。

  1. 上記の原因でテストステロン(男性ホルモン)の分泌量が減る
  2. 頭皮付近に存在している5α-リダクターゼがテストステロンをDHT(ジヒデロテストステロン)に変異させる
  3. テストステロン受容体がDHTを毛根に届けてしまう
  4. 毛周期が乱れてAGAが発症する

という流れです。男性ホルモンは脱毛の原因因子と誤解されていますが、テストステロンには育毛を促進させる働きがあるということが確認されています。

AGA以外の脱毛症

脱毛症にはAGAの他にも「びまん性脱毛症」や「FAGA(女性型脱毛症)」、「円形脱毛症」、「多発型円形脱毛症」、「重症型多発型円形脱毛症」、「尋常性白斑症」、「抜毛癖(トリコチロマニア)」、「薬剤性脱毛症」、「心因性脱毛症」などいろいろな種類があります。

いずれも毛周期が乱れて起こる皮膚疾患や精神疾患ですが、毛周期を乱す原因が異なるため、治療法も異なってきます。

市販の医薬品育毛剤を比較

市販の育毛剤は主にAGA、FAGA、びまん性脱毛症の「壮年性脱毛症」の対策用に開発されています。
というのも、冒頭の方で述べた通り、脱毛の85%以上がAGAだからです。

また、近年女性にも脱毛症が増えてきたので、女性向けの育毛剤も種類が増えてきました。

市販薬に分類される医薬品の育毛剤には「第1類」〜「第3類」に分類されています。大まかな違いとしては成分の効き目よりも副作用の強さで分類されていると考えて良いですね。

副作用の強さは「第1類医薬品」>「第2類医薬品」>「第3類医薬品」です。薬事法が改正されて規制が緩和され、ネット通販でも購入することが可能になりましたが、「第1類医薬品」と「第2類医薬品」は「OTC薬品」と呼ばれ、薬剤師から説明を受けて購入するタイプになります。

第1類医薬品の育毛剤

第1類医薬品の育毛剤にはミノキシジル製剤の「リアップシリーズ」、「スカルプDメディカルミノキ5」と男性ホルモン製剤の「ミクロゲンパスタ」が有名です。

AGAの治療ガイドラインではミノキシジル外用の推奨度はAランクで、男性ホルモン補充療法は治療法として認められていないので、AGAの治療に使うのならば「ミノキシジル外用薬」のリアップシリーズかスカルプDメディカルミノキ5がおすすめです。

第3類医薬品の育毛剤

最新のAGA治療ガイドラインでは他にも幾つかの治療法が記載されていますが、市販の育毛剤に関していえば第2類に分類されている医薬品は漢方薬以外にありません。(第2類には飲み薬が多いため)。

そこで「育毛剤」として販売されているのは第1類を除けば第3類が多くなるので第3類医薬品の育毛剤を紹介しましょう。

ガイドライン上ではカルプロニウム塩化物の外用が推奨度C1(行っても良いレベル)に分類されています。

カルプロニウム塩化物を含んでいる育毛剤は「カロヤン」が有名です。カロヤンは1973年から発売されている歴史の古い育毛剤で、最新の「カロヤンプログレEX」には

  • 頭皮の過剰なアブラを除去する作用
  • 毛乳頭細胞を活性化する作用
  • 毛根の血流を改善する作用

が確認されています。ただし、ミノキシジル外用薬に比べると、副作用がマイルドな反面、効果も弱いので進行性のAGAにはリアップシリーズかスカルプDメディカルミノキ5の方がおすすめです。

AGA(FAGA)治療ガイドラインで見る市販の育毛剤の推奨度比較

医薬品の育毛剤を購入する際には日本皮膚科学会が策定している「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」が最も信頼性の高いエビデンスになります。

ここにはAGAとFAGAに関する治療法やその推奨度などが記載されていて、皮膚科やAGAクリニック、美容皮膚科でもこのガイドラインに基づいた治療が行われます。

ガイドライン上の推奨度について

  1. 推奨度A:行うよう強く勧める
  2. 推奨度B:行うよう勧める
  3. 推奨度C1:行っても良い
  4. 推奨度C2:行わない方が良い
  5. 推奨度D:行うべきではない

AGAやFAGAに関する治療ではミノキシジル外用の推奨度はA、カルプロニウム塩化物の推奨度はC1に分類されています。

AGAとFAGAの違い

FAGA(女性型脱毛症)は2017年にガイドラインに追記された女性型脱毛症です。女性の脱毛症で一番多いのは「びまん性脱毛症」ですが、こちらは加齢やストレスによるエストロゲン(女性ホルモン)の減少以外の原因や発症のメカニズムは明らかにされていません。

ところが女性の脱毛症患者の数が年々増加してきたことで、臨床的なデーターの数も増え、その中にはAGA(男性型脱毛症)と同じように5α-リダクターゼ由来の脱毛パターンがあることが解明されました。

発症パターンがAGAと同じなので女性に起こるAGAをFAGAと呼ぶようになったのですが、ちなみにFはFemale(女性)の頭文字です。

FAGAに用いる市販の育毛剤

女性の脱毛症はまだ原因が定かではないのですが、FAGAやびまん性脱毛症に関してはミノキシジルの有用性が確認されています。

ただし、男性のように5%ミノキシジル外用薬を用いた治療例が少なく安全性を考慮してガイドラインでは1%ミノキシジル外用薬の使用が強く勧められています(推奨度A)。

女性向けの市販の育毛剤で1%ミノキシジルを配合しているのはリアップジェンヌです。

市販の育毛剤(医薬品)を使う際の注意点

市販の育毛剤は種類がとても多いのですが、ほとんどが「医薬部外品」か「化粧品」に分類されるものです。

医薬品は数が限られていますが、ミノキシジル製剤はAGAやFAGAに対して高い治療効果をあげている成分なので、現状では一番おすすめです。しかし、副作用リスクも高いので、使用していて異常を感じたら使用を中止し、皮膚科もしくは薬剤師に相談してください。

市販の育毛剤+αでさらに育毛効果をアップさせるには?

脱毛症の原因のパートで説明したように、脱毛の直接的な原因である「毛周期の乱れ」は

  • 生活習慣の乱れ
  • 精神的なストレスの蓄積

から引き起こされます。医薬品の育毛剤には頭皮付近の毛細血管を拡張させて血流を促進する作用があるのですが、生活習慣の乱れや精神的なストレスの解消も同時に行われていないと効果が半減する恐れがあります。

AGAは20代のおよそ10%、50代になると40%以上の確率で発症する進行性の皮膚病なので、早めの対策を立てることが何よりも大切なのですが、その際には育毛剤の使用と同時に生活習慣の改善やストレスケアを心がけることで毛周期の乱れが改善されやすくなります。

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