「ミノキシジル」とは壮年性脱毛症(AGA、FAGA、びまん性脱毛症の総称)の医療用成分です。日本では育毛剤の有効成分として承認されていますが、海外ではミノキシジルの飲み薬としてミノキシジルタブレットが処方されることも珍しくありません。
年々日本でも脱毛症患者の数が増え、大きな社会問題化している背景からミノキシジルタブレットへの注目も高まりを見せています。今回はそんなミノキシジルタブレットの効果や副作用、価格などを徹底的に調査してみました。
目次
ミノキシジルタブレットについて
ミノキシジルはAGA(男性型脱毛症)、FAGA(女性型脱毛症)、びまん性脱毛症などの壮年性脱毛症の治療全般に広く用いられている医療用成分です。
タブレットというのは錠剤を意味するので「ミノキシジルタブレット」は内服のミノキシジル治療薬になります。日本で承認を受けているミノキシジル製剤は全て外用薬ですので、日本国内の薬局やドラッグストア、調剤薬局などでミノキシジルタブレットを購入することはできません。
また商品化されているミノキシジル製剤は大正製薬のリアップシリーズとANGFA(アンファ)のスカルプDメディカルミノキ5という育毛剤でいずれも一般薬(市販薬)ですが、「第一類医薬品」として承認されているので、許可を受けた販売業社のネット通販以外で購入する場合は、薬剤師との対面販売が義務付けられている薬(OTC薬)になります。
さらに、日本皮膚科学会が策定する「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年度版」ではミノキシジルがAGAやFAGAならびにびまん性脱毛症に対する治療薬として有効であるということが認められているものの「ミノキシジル内服薬」については推奨度D(使用すべきではない)となっているので、購入するときは副作用なども合わせて十分な検討を要する薬だという認識を持つようにしてください。
B.推奨度の分類
A.行うよう強く勧める
(少なくとも 1 つの有効性を示すレベル I もしくは良 質のレベル II のエビデンスがあること)
B.行うよう勧める
(少なくとも 1 つ以上の有効性を示す質の劣るレベ ル II か良質のレベル III,あるいは非常に良質の IV の エビデンスがあること)
C1.行ってもよい
(質の劣る III~IV,良質な複数の V,あるいは委員 会が認める VI のエビデンスがある)
C2.行わないほうがよい (有効のエビデンスがない,あるいは無効であるエビ デンスがある)
D.行うべきではない (無効あるいは有害であることを示す良質のエビデ ンスがある)
(引用元:公益財団法人日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年度版」)
ミノキシジルタブレットの効果
それではミノキシジルタブレットとはどのような薬で、壮年性脱毛症についてどのような作用があるのかを説明していきたいと思います。
ミノキシジルはもともと「高血圧」の治療用成分として開発されていたものです。1960年代にはすでに臨床検査が開始されていた歴史のある薬で、もともとは経口薬として開発されていたので今の外用薬(塗り薬)よりも古い歴史を持つのがミノキシジルタブレットです。
アメリカのFDA(アメリカ食品医薬品局)では高血圧の治療薬としてミノキシジルタブレット(製品名:ロニテン)を承認していますが、日本ではこちらも未承認薬です。
もともとロニテンの副作用として確認されたのが脱毛症の改善効果であり、その後、本格的に脱毛症治療薬として研究・開発されたのが2%のミノキシジルを配合した「ロゲイン」という外用薬です。
ロゲインも日本では未承認薬ですが、現在は厚生労働省がミノキシジル5%配合まで認めているので、リアップやスカルプDメディカルミノキ5をロゲインと比較して治療効果が劣るということはありません。
また、ミノキシジル外用薬は日本皮膚科学会が策定する脱毛症診療のガイドライン(上記参照)では推奨度Aなので、単独使用でも70%以上の治療・改善効果が認められています。
ミノキシジルの効果は血管を拡張して血流を改善するというものです。壮年性脱毛症(加齢が主な原因の脱毛症の総称)では頭皮付近の血流障害が起こりやすくなっていて、これが原因で毛母細胞や毛包組織が弱まり毛周期が乱れて脱毛が進行します。
ミノキシジルを投与することで頭皮の血流を改善し、毛根に十分な酸素と栄養素を運んで毛周期を正常化させ、脱毛症状を改善していきます。
ミノキシジルタブレットの正体
ミノキシジル開発の経緯をみると、もともとロゲイン(塗り薬)よりもロニテン(内服薬)の方が先に誕生していて、アメリカのFDAでは高血圧治療薬として承認しているので、ミノキシジルタブレットというのはロニテンもしくはロニテンジェネリックであるということがわかります。
日本ではロニテン自体が承認されていないのと、適応症が高血圧であるという点で脱毛症治療にミノキシジルタブレットを使用することを推奨していませんが、フィナステリド(薬品名:プロペシア)とミノキシジルを併用することで脱毛症治療効果がアップすることが確認されているので、欧米ではミノキシジルタブレットを処方する症例も報告されています。
ミノキシジルタブレットの副作用や禁忌
有効成分「ミノキシジル」には強い血管拡張作用があります。このため、
- 頭痛やめまい
- 意識障害
- 浮腫(むくみ)
- 動悸、息切れ
- 多毛症
- 急激な体重増加
- 手足のしびれや痛みなどの感覚異常
- 性欲減退
- 肝機能障害
- 腎機能障害
- 皮膚の紅潮
- 多汗
- 湿疹、かゆみ
- せん妄状態
など数多くの副作用例が確認されています。これらの副作用はオーバードーズ(過剰服用)しなくても比較的出やすい副作用と言われていて、死亡例も確認されているので、ミノキシジルタブレットの導入には慎重を要するのです。
また、血圧の薬(降圧剤や利尿剤)、心臓疾患の薬、胃腸障害の薬、痛み止め、睡眠薬、向精神薬など神経に作用する薬などを併用すると相互作用で副作用のリスクが高まるので、安易に個人輸入代行などで購入せず、主治医に相談した上で導入するようにしてください。
ネット通販を使ってミノキシジルタブレットを入手するということ
これまで説明してきた通り、ミノキシジルタブレットは日本国内では未承認であり、皮膚科学会のガイドラインでも推奨されていない治療法ですが、有用性が低いということではなくむしろ副作用にさえ注意していれば治療効果は高いという認識で、例外的に処方する美容皮膚科もあるぐらいです。
個人輸入代行業者の大手「オオサカ堂」でもロニテンジェネリックのNoxidil(ノキシジル)100錠入り一箱3,035円〜という格安の値段で入手することができます。これは美容皮膚科で処方される場合に比べると1/10以下の値段という手頃さです。
ただし、個人輸入代行を使って薬を通販で購入するということは非常にリスキーな行為で全て自己責任であるということを自覚しておいてください。万が一重大な副作用が起きたとしても日本の国内法では海外のブローカーや製薬会社を相手取って裁判を起こすこと自体非常に難しい行為です。
ミノキシジルタブレットを飲むと体毛が濃くなる?
ミノキシジルの副作用には「多毛症」があります。そもそも脱毛症治療の効果が高い成分なので、これは当然といえば当然ですね。
リアップのような塗り薬だと脱毛を起こしているところに直接塗布するので、全身多毛症を起こすリスクは低くなりますが、飲み薬のミノキシジルタブレットでは、そんなに都合よく発毛部位をコントロールできるわけではないので、ムダ毛が増える可能性が高くなります。
ミノキシジルタブレットのまとめ
高齢化やストレス社会が進む現代では脱毛症の悩みが年々増加傾向にあり、脱毛症治療薬は高い注目を集めています。
日本では厚生労働省がミノキシジルタブレットを認めていませんが、個人輸入代行業者を使えばネット通販の感覚で気軽に入手することができます。
ただし、この薬は副作用が出やすく、飲み合わせにも注意が必要なので購入する際には医師や薬剤師と相談の上慎重に服用するようにしてください。