デュタステリドと塗り薬について!

脱毛治療イメージ

AGA治療の飲み薬で世界で2番目に承認された成分が「デュタステリド」です。日本でもすでに承認されていて、「ザガーロ」名前で処方されます。
デュタステリドは先発したフィナステリドの改良版と言われていますが、効果が高い反面副作用リスクも高いので、現在AGA治療では第二選択肢となる薬です。
なお、デュタステリドは医療用医薬品の成分なので、処方箋がないと購入することができません。
また、デュタステリドの性質として「触れただけで皮膚から浸透していく」ため、塗り薬があるのではないか?という噂やブログを目にした方もいるかもしれません。
今回はデュタステリドと塗り薬の関係についていろいろと調べてみました。

関連記事フィナステリドとは?AGA治療薬!副作用や効果について調べてみました

デュタステリド配合の塗り薬はありません

結論からいえば、デュタステリドを配合している塗り薬というのはありませんでした。
ミノキシジルには飲み薬と塗り薬があるのにどうして?と思いますよね。
でも、ミノキシジルは本来高血圧の治療用に開発された薬で、日本では承認されていませんが、もともとは飲み薬です。
そしてミノタブ(ミノキシジルタブレット)はAGAや脱毛症の治療薬ではなく、高血圧治療薬ロニテンのジェネリック医薬品なので、AGA治療に用いるのはイレギュラーな使い方になります。
しかし、副作用の一つに全身多毛症があることからも、発毛作用を持っていることは間違いないので、AGAクリニックでは医師の管理の元に適切に服用するのを前提として処方されることがあります。
薬としてはミノキシジル外用薬の方が新しいので、ミノキシジルには飲み薬と塗り薬の両方存在しているというわけですね。

デュタステリドとは?

デュタステリドはAGA治療薬ザガーロの主成分ですが、こちらも本来は前立腺肥大症やそれに伴う高血圧の治療用に開発された成分で、AGA治療効果は副作用として発見されました。
そして、ミノキシジルも高血圧治療薬なので、デュタステリドとミノキシジルの違いを比較してみましょう。

成分名作用機序薬のタイプ
デュタステリド5α-リダクターゼの働きを抑制酵素阻害剤
ミノキシジル全身の血管を拡張する血管拡張剤

同じように血圧に働きかける薬でも作用が全く異なる薬ということがおわかりいただけると思います。

5α-リダクターゼ酵素について

デュタステリドが作用する5α-リダクターゼ酵素について説明していきましょう。この酵素はAGAの原因物質と言われています。
AGAにはハゲ方によって幾つかのタイプに分けられますが、この「型」は頭皮付近のどの部分に5α-リダクターゼが多く分布しているかによって決まります。
M字脱毛の人は額の生え際に、O字脱毛の場合は頭頂部にこの酵素が多く存在しているということになります。
ところで、酵素には1つの働きしかありません。では、5α-リダクターゼの働きとはどのようなもので、どうしてAGAを引き起このでしょう。
それはテストステロンという男性ホルモンをDHTという違う男性ホルモンに変異させるという作用です。
また、5α-リダクターゼにはI型とII型が存在し、II型にしか反応しないフィナステリド(プロペシア)に対してデュタステリドはI型にも反応し、II型に対する感受性もフィナステリドの約3倍強いということが判明しています。

テストステロンとDHTについて

酵素と違いホルモンには数多くの働きがあります。テストステロンにも幾つかの働きがあり、その中の一つが「育毛作用」です。(主に毛母細胞を活性化させると言われています)
これに対してDHT(ジヒデロテストステロン)は男性の生殖活動に深く関与する性ホルモンです。
男性ホルモンは多くが精巣で作られているので、加齢やストレスでDHTの分泌量が減ると精巣の機能が低下し、さらに男性ホルモンの分泌量が減るという負の連鎖が始まります。
これを防ぐために、脳は頭皮付近のテストステロンを優先的にDHTへと変異させて精巣の機能を維持させようとします。
その結果頭皮付近のテストステロン量が減り、髪の毛が弱々しくなってAGAを発症します。

デュタステリドと塗り薬の併用がAGA治療のセカンドチョイス

デュタステリドは5α-リダクターゼにしか作用しない酵素阻害剤なので、AGAや前立腺肥大症にしか適用がありません。対してミノキシジルは血管拡張作用に優れていますが、複合的な副作用が出やすい薬なのでAGAに対しては副作用リスクを下げるためにも塗り薬の方が適しています。
日本皮膚科学会が策定している最新(2017年度)版の男性型及び女性型脱毛症治療ガイドラインでもデュタステリド内服薬とミノキシジル外用薬の投与はどちらも推奨度Aというお墨付きをもらっている治療法です。
ただし、フィナステリド(プロペシア)でも高い治療効果を持ち、副作用リスクがより少ないので、デュタステリドはフィナステリドでは効かない場合に投与される薬です。

デュタステリドの効果

デュタステリドはフィナステリドの改良版と言われている成分です。
しかし、フィナステリドはII型の5α-リダクターゼにしか作用しないのに対してデュタステリドはI型とII型に作用するので効果はデュタステリドの方が高いということになります。
また、フィナステリドの半減期が4時間程度なのに対し、デュタステリドの半減期は最大72時間と効果を維持する期間も長いので、1回や2回ならば飲み忘れてもOKという点もメリットです。
II型5α-リダクターゼの抑制効果だけを比較した場合でも、フィナステリドの約3倍で、これにI型の阻害効果も加わります。
プロペシアの3倍以上の効果を発揮する薬ならば最初からザガーロを処方したほうが良いという意見もありますが、副作用リスクはフィナステリドの約8倍で、フィナステリドでも70%近い治療効果が得られるため、現在でもAGA治療時に最初に処方されるのはプロペシア(フィナステリド)です。

デュタステリドの副作用

デュタステリドはフィナステリドをベースに開発された成分で、似たような副作用があります。また薬には比較的発症率の高い「主な副作用」とごく稀に発症する「重篤な副作用」があり、必ずその成分に対するアレルギー症状(アナフィラキシーショック)も検証されています。
AGA治療薬の効果と副作用には民族差が出やすい傾向があります。このため、同じデュタステリドを配合した薬でも日本で副作用のエビデンスが公開されているザガーロと、日本では承認されていない外国製のデュタステリドジェネリックでは副作用の発症頻度や症状が異なる場合があるので注意してください。
ザガーロがAGA治療に用いられる時はデュタステリド0.5mg配合タイプが用いられるので、ここで説明するデュタステリドの副作用も0.5mgを使用していることを前提とします。

主な副作用

  • 全体的な発症率:16.7%
  • 勃起不全:10.6%
  • リビドー(性欲)の低下:8.3%
  • 射精障害:4.2%
デュタステリドは男性の生殖機能に深く関与しているDHT(ジヒデロテストステロン)という男性ホルモンを作り出す5α-リダクターゼ酵素の働きを阻害するため、副作用としてED関連の症状がでやすくなります。

重篤な副作用

重篤な副作用は発症するにしても1%未満、普通は発症頻度稀(0.001%未満)という本当に「ごく稀」にしか起こらない症状です。ただし一旦発症すると重症化しやすいタイプが多いので、服用中に何かしらの異常を感じた場合は、ただちに処方医に相談してください。

  • アナフィラキシーショック(発症頻度不明):発疹(1%未満)蕁麻疹、アレルギー反応、そう痒症、限局性浮腫、血管浮腫など
  • 精神症状:頭痛、抑うつ気分(1%未満)、浮動性めまい、味覚異常
  • 生殖系症状:乳房障害(女性化乳房、乳頭痛、乳房痛、乳房不快感)(1%未満)、精巣痛、精巣腫脹
などです。

デュタステリドと塗り薬のまとめ

日本皮膚科学会が策定しているAGA治療のガイドラインでは、デュタステリド内服+ミノキシジル外用の投薬治療は推奨度最高ランクのAを獲得しています。
ただし、フィナステリド内服に比べると副作用リスクが出やすいことと、フィナステリドでも治療効果は70%以上と高いので、現在でも治療の第一選択肢はフィナステリド内服+ミノキシジル外用になります。

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