育毛剤と発毛剤の違いって何?

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近年では男女共に増えてきたのが脱毛の悩みです。しかし、現在最も多い脱毛はAGA(男性型脱毛症)で、脱毛症全体のおよそ85%を占めています。
2017年には日本皮膚科学会が策定するAGAとFAGA(女性型脱毛症)の治療ガイドラインが見直され、新たにFAGAの治療法が掲載されることになりました。

しかし、一般的にはネット通販や薬局あるいはドラッグストアで育毛剤を買ってケアをしているイメージが強いのですが、育毛剤にもいろいろな種類があり悩んでしまいますよね。またネットでは「育毛剤」や「発毛剤」などの文言が踊り、違いがわからなくてさらに混乱してしまいます。

そこで今回は育毛剤や発毛剤って何がどう違うのか?について解説していきます。またオススメの育毛剤についても紹介していきますので、脱毛に悩む人は参考にしてください。

育毛剤と発毛剤の違いとは?

「育毛剤」と「発毛剤」の違い…。言葉だけを見ると「育毛剤=生えてきた毛を育てるためのもの」、「発毛剤=毛を生やすためのもの」という違いがありそうですが、今判明している「脱毛」のメカニズムから考えると、この2つのカテゴリーに分けられている商品群は同じ目的で使われていると考えて差し支えないでしょう。

育毛剤や発毛剤の目的とは?

育毛剤も発毛剤も同じ目的で使われる、と言い切っても差し支えない理由は、日本の脱毛症のおよそ90%を占めているのが壮年性脱毛症と言われるタイプの脱毛症で、これにはAGA(男性型脱毛症)、FAGA(女性型脱毛症)、びまん性脱毛症が含まれています。

中でもAGAは全脱毛症の約85%以上を占めていて、ほとんどの育毛剤や発毛剤というのはAGAの治療、予防、改善が目的で開発されています。

また、AGAとは進行性の脱毛症であり、毛周期の乱れが直接の原因で、完全に毛包が消失した毛穴からは二度と毛が生えてこないということがわかっています。つまり結局のところ、育毛剤も発毛剤もAGAの進行を遅らせるためのものということになるのです。

毛周期について

毛周期(またはヘアサイクル)とは毛が生え変わる周期のことです。毛髪の寿命はだいたい2年から6年と言われています。かなり個人差がありますが、寿命が短い毛ほど脱毛を起こしやすいと考えられています。

毛周期は以下の5段階の時期に分けられています。

  1. 成長期(初期):新しい毛乳頭が形成され毛穴の中で毛が生え始める時期
  2. 成長期(中期):毛がどんどん育ち毛穴の外に伸びていき毛乳頭の活動が最も盛んな時期
  3. 成長期(後期):毛乳頭も毛も成熟し、成長が緩やかになる時期
  4. 退行期:毛乳頭も毛も成長が止まり、毛細血管から毛乳頭が離脱し、脱毛が起こる時期
  5. 休止期:完全に脱毛し、新しい毛乳頭の形成に備える時期

脱毛症とは成長期が極端に短くなり、成長中期からいきなり退行期へと移行していく皮膚病です。しかも、進行するとさらに成長期全体が短くなり、毛が育ちきる前に脱毛が始まってしまいます。

AGA発症のメカニズム

それでは最も症例の多いAGA発症のメカニズムを説明していきましょう。
AGAは男性型脱毛症と言われているように、男性特有の脱毛症で、発症頻度は次の一覧の通りです。

  • 20代:約10%
  • 30代:約20%
  • 40代:約30%
  • 50代:約40数%
  • 60代以降:60%以上

年代が上がるとともに発症数も多くなっていくことがわかりますね。

AGAの原因

このことからAGA発症の最大の原因が加齢による基礎代謝の低下ということがわかります。
特に40代以降から発症数が増えるのは基礎代謝が低下することで男性ホルモン(テストステロン)の分泌量が減るからです。
この他にも「精神的なストレス」、「生活習慣の乱れ」、「不眠、うつ傾向」、「運動不足」なども原因因子として考えられています。

AGAが発症するまで

男性ホルモンのテストステロンには毛を太く丈夫にするという役割があります。男性ホルモンが多いと禿げやすくなるっていうのは嘘なんですよ。
しかしながら、上記のような原因によって単純にテストステロンの量が減ると急に脱毛が始まるというわけではありません。

実は頭皮付近には5α-リダクターゼという酵素があり、これがテストステロンをGHT(ジヒデロテストステロン)という別の男性ホルモンに変異させてしまうのです。

また、頭皮の内側にはテストステロンを受け取って毛根に運ぶ「テストステロン受容体(レセプター)」という物質があり、これが組成の似ているDHTを受け取って毛根に運んでしまうと、栄養不足になり、毛周期の成長期が短くなってAGAが発生する、という流れになっています。

AGA治療薬について

現在皮膚科やAGAクリニックではAGA治療時には飲み薬が処方されます。(プロペシアやザガーロなど)これらのAGA治療薬には5α-リダクアターゼ酵素の働きを阻害する作用があり、中等度以上の治療改善効果は70%以上という高い治療効果をあげています。

日本皮膚科学会が策定する「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」ではAGAに対して、飲み薬とミノキシジル製剤(塗り薬)の併用治療が最も高い推奨度Aに指定されています。

育毛剤(発毛剤)の種類

このように、脱毛症全体のおよそ85%がAGAであり、50代男性のおよそ半数近くが発症リスクを抱えている、ということはそれだけ育毛剤を必要としている人が多いということなので、市販の育毛剤もほとんどがAGA対策用に開発されています。

しかし、一口に育毛剤と言っても実際には「医薬品」、「医薬部外品」、「化粧品」、「その他」という商品群に分類されていて、医薬品は治療用、それ以外の商品は予防もしくはケア用に使うという目的の違いがあります。

医薬品はその他の商品群に比べると効果が高い反面、副作用も強いため、医薬品の育毛剤を使用するときは薬剤師に相談した上で購入されることをおすすめします。

育毛剤(発毛剤)の人気ランキング

ネット等の口コミや効き目などの面から総合的に判断して、最も人気の高い育毛剤ランキング上位の3商品を紹介しましょう。

  • 第1位チャップアップ(医薬部外品):天然由来の生薬成分が中心で敏感肌の人や女性にも使える育毛剤です。シャンプー後頭皮全体に広げるようにマッサージすることで脱毛症の予防や改善に効果的です。
  • 第2位リアップシリーズ(第1類医薬品):「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」でもAGAの治療時に使用する医薬品としては最高推奨度Aの成分ミノキシジルを配合している医薬品です。ただし、副作用が出やすいというデメリットがあります。
  • 第3位カロヤンプログレEX(第3類医薬品):主成分はカルプロニウム塩化物でリアップシリーズ同様、医薬品の育毛剤ですが、こちらは「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」推奨度C1(使用しても良いレベル)です。

育毛剤(発毛剤)は併用しても大丈夫?

上記のように、医薬品の育毛剤はそれ以外の育毛剤に比べると「副作用」が出やすいので、リアップやスカルプDメディカルミノキ5、カロヤン、ミクロゲンパスタなどの医薬品との併用は避けたほうが良いでしょう。

医薬部外品も厚生労働省が認めた医薬品成分が配合されているため、併用するときは薬剤師に相談してください。化粧品やその他のカテゴリーにある育毛剤は副作用リスクが少ないので、併用しても敏感肌やアレルギー体質の方でなければ大きな問題になることはありませんが、併用によって効果が上がるという保証もありません。

女性におすすめの育毛剤(発毛剤)は?

女性の場合最も多いのはびまん性脱毛症とFAGAです。この脱毛症には1%ミノキシジル製剤外用薬の使用が推奨度Aになっているので、医薬品の育毛剤を使うとしたら「リアップジェンヌ」がおすすめです。

ただし、1%ミノキシジル製剤も副作用リスクは比較的高いので、安全性を重視するならば「チャップアップ」などの医薬部外品が良いでしょう。

女性の脱毛症に対して5%ミノキシジル製剤の使用は安全性が確認されていないため、ガイドラインでも推奨されていません。このため、リアップX5プラスやスカルプDメディカルミノキ5などの5%ミノキシジル製剤を自己判断で使用することは避けてください。
どうしても使用したい場合は皮膚科に相談してからにしましょう。

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