白髪というのは頭皮トラブルで起こる毛髪の脱色症状ですが、これも医学的には脱毛症の一つということになっています。
男性は中高年になるとAGA(男性型脱毛症)が急増し、半数以上の方が発症すると言われています。
では、白髪が脱毛症ならばAGA治療薬のプロペシアも白髪に効果があるのでしょうか?今回はそんな気になるプロペシアの白髪治療効果について詳しく解説していきます。
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目次
プロペシアについて
プロペシアは世界初のAGA治療用内服薬です。主成分のフィナステリドは本来前立腺肥大症やそれに伴う高血圧の治療用に開発されたのですが、治験時に副作用としてAGA改善効果が報告され、その後本格的に薄毛治療薬としての開発が始まりました。
日本では2005年に厚生労働省が承認しています。
プロペシアは医療用医薬品の指定を受けているので、一般薬には配合されていません。プロペシアやプロペシアジェネリックを入手するには皮膚科やAGAクリニックで治療を受ける必要性があります。
プロペシアはこうしてAGAを治す
脱毛症というのは民族性や地域性がある皮膚疾患だと言われているのをご存知でしょうか?例えばAGAには幾つかパターンがあって、日本人に多いのはM字ハゲ、ついでO字ハゲなのですが、西洋人(特に白人)にはO字ハゲが最も多いと言われています。ラテン系もM字ハゲの印象が強いですよね。
これはAGAの原因物質「5α-リダクターゼ」という酵素の分布が民族や地域によって異なるからだと考えられています。
ただ、どうしてそうなるのかは未だ解明されていませんが、日本人やラテン系の男性は額の生え際にこの酵素が集中しているので、M字ハゲが多くなるという仮説が有力視されています。
そしてプロペシアはこの原因物質「5α-リダクターゼ」の働きを無効化して症状の進行を食い止めるための治療薬です。
実はプロペシアに白髪を治す効果はない?
それではここでAGAを正しく知るために、原因物質の5α-リダクターゼがどうしてAGAを引き起こしてしまうのかを説明していきましょう。
まず、5α-リダクターゼなどの酵素は人が生きていく上で欠かせない物質なのですが、働きは1つしかありません。そして、5α-リダクターゼのたった一つの働きというのは男性ホルモン「テストステロン」をDHT(ジヒデロテストステロン)という別の男性ホルモンに変異させることです。
プロペシアは5α-リダクターゼに作用する薬なので、効果というのは「テストステロンがDHTに変異するのを防ぐ」ことになります。
男性ホルモンとAGA
男性ホルモンが多いとハゲになる…。実はこの話は真っ赤な嘘です。男性ホルモンにもいろいろな種類があり、一つの性ホルモンには数百種類もの働きがあります。
テストステロンは集中力ややる気の向上など脳の中枢神経に働きかける作用が多いので脳の付近にたくさん存在しています。そしてこのホルモンには「育毛作用」があるのです。
つまり、私たちの毛髪が元気に伸びるのも男性ホルモンのおかげなんですね。かたやDHTは主に男性の生殖活動に関与しているホルモンです。
どちらも男性にとっては非常に重要なホルモンなのですが、DHTが減少してしまうと男性ホルモンを作り出す精巣の機能が低下してしまい、男性ホルモンの全体量が少なくなってしまいます。
それを防ぐために脳はテストステロンを減らしてでもDHTに変異させる指令を出すのです。
テストステロンの黒髪効果は解明されていない
テストステロンに育毛効果はあるのですが、黒髪の色の元はメラニンという色素で、これは頭皮の奥や毛母細胞内にあるメラノサイトという細胞が作り出すものです。
この辺りはまだ完全に解明されていないのですが、テストステロンとメラノサイトには何らかの因果関係がある可能性が示唆されているだけで、テストステロンが増えると黒髪になるとか肌の色が黒くなるという根拠はありません。
したがってプロペシアを服用してテストステロンの量が増えても必ずしも白髪が改善するという医学的な根拠はないのです。ただし、育毛効果があるということは毛母細胞内のメラノサイトに働きかける作用があるのではないか?という仮説も立てられています。
年齢と男性ホルモン分泌量の関係
人の性ホルモン分泌量は男女共20代をピークにしてその後は減少の一途をたどります。テストステロンも非常に重要な働きをするホルモンなのですが、DHTが減少してしまうと、精巣の働きが鈍り男性ホルモン全体量が不足して、LOH症候群という男性版更年期障害を発症してしまうリスクが高まります。
加齢によって性ホルモンの分泌量が低下していくのは自然な現象ですが、それによって心身に不具合を起こすのはよろしくないので、脳はテストステロンを減らしてでもDHTの量を維持しようとします。
ミノキシジルを併用したら白髪には効果的?
日本皮膚科学会が策定しているAGA治療ガイドラインではファイナステリド内服と5%ミノキシジル外用薬が推奨度A(行うことを強く勧める)という位置付けになっています。
実際のAGA治療現場でもプロペシア+ミノキシジルというのは最初に処方される薬です。
ミノキシジルには高い血管拡張作用があり、発毛効果が認められている成分です。
つまりAGAの標準治療はプロペシアで症状の進行を食い止め、ミノキシジルで発毛させるということになります。
またAGAは頭皮トラブルなので頭皮の毛細血管が開いて血流が改善すると頭皮環境が整い、不活性化していた毛母細胞内のメラノサイトの再活性が期待できます。
プロペシアやミノキシジルが直接メラノサイトに働きかけるかどうかは今のところ不明ですが、AGAの標準治療で白髪が改善する可能性は十分に期待できます。
プロペシアと白髪のまとめ
白髪というのは言ってみれば生気を失った弱い毛髪です。健康な毛と比べてみると色が白いだけでなく細くて弱々しく、乾燥してハリもツヤも失われていますよね。
脱毛症を起こすと毛根が弱り、本来ならば成長していなければならない時期にもかかわらず抜けてしまいます。白髪はかろうじて残っている毛髪という感じです。
AGAは頭皮疾患の一種なので、頭皮環境を改善するとヘアサイクルが元に戻り、脱毛も改善されていきます。プロペシアはAGAの原因物質を阻害する薬ですが、色素を増やす作用は確認されていません。ただし、ヘアサイクルが正常化すると生え変わってきた髪の毛には黒さが蘇っている可能性が十分に期待できます。
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