育毛剤の医薬品には何があるの?市販で購入できる育毛剤を調べてみました

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男性の場合50代以上の人は約半数がAGA(男性型脱毛症)を発症すると言われています。またAGAは20代からすでに発症する人がいて、全脱毛症の85%以上を占めています。

このため、「育毛剤」というのはほぼAGAの治療もしくは改善・予防のために開発されているといっても過言ではないでしょう。日本ではAGAの治療薬に認められている医療用育毛剤と、脱毛症全般の改善・予防のための医療用育毛剤があるので、どれがおすすめなのかを比較調査してみました。

医薬品の育毛剤とは?

医薬品とは特定の疾患の治療用、もしくはセルフメディケーション(医療機関に頼らないで自分で一般薬を用いて治療する方法)に用いる一般薬に分類されます。

カテゴリー説明
医療用医薬品医師の処方箋に基づき院内薬局や調剤薬局で処方する薬。一般の薬局やドラッグストアーでは購入できないタイプ。
第1類医薬品薬剤師と面談するか、販売許可を得ている業者からネット通販を通じて購入できる薬。OTC医薬品とも言われている。
第2類医薬品OTC医薬品の一種。ただし改正薬事法(薬機法)によって規制が緩和され、薬剤師もしくは認定販売員が常駐している薬局もしくは販売許可を得ている業者からネット通販を通じて購入できる薬。
第3類医薬品認定販売員が登録されているドラッグストアーで購入可能な薬。販売許可を得ている業者からネット通販を通じての購入も可能

日本ではAGAなどの「壮年性脱毛症」の治療薬に唯一認定されている医療用成分が「ミノキシジル」です。
ミノキシジルを配合している医薬品は第1類医薬品として承認されていて、商品名は大正製薬の「リアップシリーズ」とANGFAの「スカルプDメディカルミノキ5」が該当します。

リアップシリーズにはミノキシジルが1%配合タイプから5%配合タイプまでバリエーションが豊富に揃っていますが、スカルプDメディカルミノキ5は5%ミノキシジル配合タイプのみです。

1%ミノキシジルと5%ミノキシジルの違いとは?

日本皮膚科学会が策定している「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」では有効成分ミノキシジルの適応症としてAGAとFAGAが認定されています。
AGAとは男性型脱毛症、FAGAは女性型脱毛症と言われていますが、FAGAについては2016年まで「女性型男性型脱毛症」という意味不明な日本語訳がつけられていました。

実は女性に起こる脱毛症の多くは「びまん性脱毛症」といって、加齢やストレスによって女性ホルモン(エストロゲン)が減少することで起こるというのが通説でした。
一方のAGAはテストステロンという男性ホルモンが5α-リダクターゼという酵素の働きによってDHT(ジヒデロテストステロン)という別の男性ホルモンに変異することで発生する脱毛症です。

現在AGAの治療薬にはミノキシジル以外にも「プロペシア」や「ザガーロ」という飲み薬が厚労省の承認を得ています。これらのAGA内服薬は5α-リダクターゼの働きを阻害することから「酵素阻害剤」と呼ばれています。

酵素1つには1つの働きしか有りません。これを「一意の働き」と言います。したがって5α-リダクターゼにはテストステロンをDHTに変異させる働きしかありません。

この酵素の存在が確定したことでAGA内服薬が開発され、高い治療実績をあげるようになったのですが、一方のびまん性脱毛症は依然として「エストロゲン不足が原因のようだ」ということしかわかっていない難治性の脱毛症です。

そこでいろいろな実験を重ねているうちにびまん性脱毛症の中にも5α-リダクターゼが原因で起こる脱毛症(=AGA)の症例が確認されました。これがFAGAです。しかし、女性へのプロペシアやザガーロの投与例はまだ臨床数が少なくエビデンスに乏しいため、治療薬として用いることは推奨されていません。

したがってFAGAも含めた女性の壮年性脱毛症の治療薬として現在唯一存在するのが「1%ミノキシジル製剤のリアップジェンヌ」です。

AGAとFAGA、びまん性脱毛症の違いとは?

AGAとFAGA、びまん性脱毛症の違いはその原因と症状の現れ方にあります。

病名原因症状
AGA5α-リダクターゼM字脱毛やO字脱毛
FAGA5α-リダクターゼ、エストロゲンの減少頭部全体に症状が広がる「びまん型」
AGAエストロゲンの減少頭部全体に症状が広がる「びまん型」

AGAのように「5α-リダクターゼが原因ということは男性ホルモンの減少が影響している」と考えられます。したがってAGA、FAGA、びまん性脱毛症のいずれも性ホルモンの減少が由来の脱毛症ということになります。

性ホルモンのバランスが悪くなる最大の現は「加齢」と「精神的なストレス」です。そしてこの3つの脱毛症は働き盛りになると発症リスクが高まることから「壮年性脱毛症」と言われています。

市販の医薬品育毛剤の分類について

市販の医薬品は上記の一覧表のように第1類〜第3類に分類されています。第1類が市販薬の中ではもっとも副作用のリスクが高く、場合によっては日常生活を送ることができないほどの重篤な副作用を起こす可能性が高い医薬品になります。第2類、第3類になるほどに副作用のリスクは低減していきます。
ただし、医薬品には必ず副作用のリスクがつきまとうことを認識しておきましょう。

また市販の育毛剤にはそれ以外にも「医薬部外品(薬用)」と「化粧品」、「それ以外の商品」があります。医薬部外品というのは医薬品と化粧品の中間に位置するような商品で、厚生労働省が指定している薬用成分を一定量以下配合しています。

そのため、効果(ベネフィット)だけでなく副作用(リスク)もありますが、医薬品に比べるとリスクは低くなります。

さらに、医療用医薬品、第1類〜第2類医薬品が「病気の治療」に用いられるのに対し、第3類医薬品や医薬部外品は予防や改善を目的として用いられるという違いがあります。

医薬品育毛剤のランキング

それでは医薬品育毛剤の売れ筋ランキングTOP3を見てみましょう。

  1. リアップX5プラス
  2. スカルプDメディカルミノキ5
  3. カロヤンプログレEX

育毛剤で一番種類が多いのは「医薬部外品」ですが、こちらは医薬品ではないため、今回はランキングから除外しています。
育毛剤はほぼAGA対策として開発されているので、やはり5%ミノキシジル配合薬が強いですね。5%はミノキシジルの最大配合量です。

カロヤンは第3類医薬品の育毛剤

第3位にランクインしている「カロヤンプログレ」は歴史のある医薬品育毛剤「カロヤン」の最新商品ですが、こちらは第3類医薬品であり、適応がAGAに限られているわけではなく、用途も治療よりも予防・改善に向いている医薬品になります。

脱毛症の全体の9割近くを占めるのが「壮年性脱毛症」ですが、それ以外にも

  • 単純性円形脱毛症
  • 多発性脱毛症
  • 重症型多発性円形脱毛症
  • 心因性脱毛症
  • 牽引性脱毛症
  • 薬剤性脱毛症

などがあり、カロヤンシリーズは脱毛症全体の予防・改善に効果があります。ミノキシジルが合わない場合にも用いられることがありますね。

医薬品育毛剤の副作用

医薬品育毛剤(外用薬)に共通する特徴は、有効成分が頭皮付近の血管を拡張し、血流を促進させるというものです。
この点においてミノキシジルは本来前立腺肥大症の治療用に開発されていたという経緯があり、高い血流改善効果があります。
また、カロヤンに配合されている「カルプロニウム塩化物」にも血流促進効果があることが確認されています。

どちらの育毛剤も脱毛班(毛が抜けている部分)に直接塗布する育毛剤なので、使用後頭皮から有効成分が浸透し毛細血管を拡張します。
ところが、血管が急に拡張すると次のような副作用を起こしやすくなります。

  • 頭皮の痒み
  • 頭皮の湿疹
  • 頭皮の発赤
  • 拍動性頭痛(脈に合わせてずきんずきんという強い痛みを感じる)
  • 耳鳴り
  • 浮動性めまい
  • 起立性低血圧
  • ホットフラッシュ(頭部に熱を持ち大量の汗をかく)
  • 頭がぼーっとする
  • 頭皮にヒリヒリとした刺激を感じる

さらに医薬品には必ず重篤な副作用としてアナフィラキシーショックという薬剤性の重症アレルギーへの注意が喚起されています。
アナフィラキシーショックを起こすと「浮腫」、「頻脈」、「全身湿疹」、「不整脈」、「意識障害」、「呼吸障害」などの症状が起こります。発症頻度はごくわずかですが、これは全ての医薬品に共通する副作用です。

もし、医薬品育毛剤を使用していて肌や体調に不調を感じたら一旦使用を中止したうえで皮膚科もしくは薬剤師に相談してください。

おすすめの医薬品育毛剤はどれ?

いかがでしたでしょうか?医薬品がテーマということで有用性だけでなくリスク情報も念入りに調査してみました。
そして、編集部的に医薬品育毛剤の中でどれがおすすめなのか?というと…、世間の脱毛症の85%以上が壮年性脱毛症ということであれば、やはり治療効果の高い「リアップシリーズ」になりますね。

リアップシリーズなら有効成分ミノキシジルの配合率が1%〜5%までバラエティに富んでいます。(配合率が高くなると効果が高くなる反面、副作用のリスクも上昇します)

またミノキシジルの外用は日本皮膚科学会の治療ガイドラインでも推奨度Aランク(積極的に使用したほうがいいレベル)なので、リアップシリーズをイチオシにしたいと思います。

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