フィナステリドはAGA治療薬プロペシアの主成分として知られていますが、もともとは前立腺肥大症やそれに伴う高血圧の治療用に開発された成分です。
特定の酵素にしか作用しない「酵素阻害剤」と呼ばれる薬で副作用リスクは低く、治療効果は高いという非常に優れた成分ですが、副作用がゼロというわけではありません。
特にプロペシアを飲んで眠くなるという方もいるので服用するタイミングには注意が必要です。
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目次
フィナステリドについて
フィナステリドは現在AGA治療の主力となる薬です。日本ではプロペシアもしくはプロペシアジェネリックとして0.2mgと1mg配合タイプが承認されています。
フィナステリド1mgのAGA症状の進行抑制効果は非常に高く、特定の酵素に作用する薬なので、比較的副作用が少ないというメリットがあります。
しかし、フィナステリドはもともと前立腺肥大症治療薬として開発された成分で、プロスカーという前立腺肥大症薬があり、これを個人輸入して服用している人もいます。
プロスカーにはフィナステリドが5mg配合されているのでその分副作用リスクも高くなります、自己判断で間違った服用をしても、個人輸入代行で入手した薬は副作用被害救済措置の対象外になりますので、AGA治療目的でプロスカーを服用するのはやめておきましょう。
フィナステリドで眠くなるのは副作用?
日本国内の臨床実験ではフィナステリド1mgを投与した場合、およそ1.1%の確率でリビドーの低下(性欲の低下)が見られ、0.7%の確率でED(勃起不全)が発生したと公表されています。
これがフィナステリドの主な副作用です。通常の服用では1日1回1mgを服用するので、この程度の副作用発生率ならば優秀な治療薬と言えるでしょう。
しかし、「眠くなる」という副作用は報告されていませんがこれはどうしてなのでしょう?
フィナステリドの鎮静作用が原因で眠くなる?
国産のプロペシアにはフィナステリドの最大量が1mgです。これは前立腺肥大症治療薬プロスカーの1/5量なので、プロペシアを飲んで眠くなる副作用が出るというのは考えづらいと思います。
しかし、リビドーの低下やEDは自律神経の鎮静作用が行き過ぎると起こる症状です。プロペシアを飲んで眠くなるという人はこうした副作用が出やすい体質なのかもしれません。
高血圧や前立腺肥大症の治療を受けている人は要注意!
プロペシア単体には併用禁忌薬はまだ報告されていませんので、服薬治療を受けている方でも飲むことができる薬です。
しかし、元々の作用機序(薬の効き方)に血圧を下げる作用を持つ成分なので、高血圧や前立腺肥大あるいは心臓病や脳梗塞など血圧が不安定になる持病を持っていて、服薬治療を受けている場合は、降圧剤やその他の治療薬と併用することで相互作用が起こり眠気が強くなる可能性があると思います。
低血圧症でも眠くなる?
先にも言った通り、本来フィナステリドには血圧を下げる作用があるため、もともと低血圧症を指摘されている方は注意が必要です。
フィナステリドの重篤な副作用
薬には必ず重篤な副作用についてのエビデンスが公開されています。発症確率は0.1〜0.0001%以下ということで「ごく稀に起こる副作用」ですが、場合によっては命の危険に及ぶケースもあるので、重篤な副作用についても覚えておきましょう。
なお、重篤な副作用というのは能書通りに正しい服用をしていて起こす確率です。同じくフィナステリドが主成分ですが、プロペシアよりも配合量が多いプロスカー(前立腺肥大症治療薬)を自己判断で服用すると、重篤な副作用を起こす可能性が高まると考えられるので、薬は必ず医師または薬剤師の指示にしたがって正しく服用してください。
(フィナステリドの重篤な副作用一覧)
- アナフィラキシーショック:フィナステリドに対するアレルギー反応です。全身浮腫や肝機能障害、呼吸困難、胸痛、全身蕁麻疹、チアノーゼなどが起こりえます。
- 肝機能障害
- 腎機能障害
など。
フィナステリドの効果
フィナステリドは頭皮や前立腺に分泌される5α-リダクターゼという酵素の働きを阻害する薬です。この酵素は高い育毛効果を持つテストステロンという男性ホルモンをジヒデロテストステロンという別の男性ホルモンに変異させる酵素です。
AGAは20代でも約10%の発症率をもつ疾患ですが、50代以降になると急激に患者数が増えます。これは年齢と共に男性ホルモンの分泌量が減り、テストステロンが積極的にジヒデロテストステロンに変異されてしまうことが原因ということがわかっています。
日本国内のエビデンスではフィナステリド1mgを1年間連続服用した場合、70%近い確率でAGAの進行が抑制できたという報告があります。(海外では98%という結果も残しています)
ただし、フィナステリド自体に育毛効果や発毛効果はなく、あくまでもAGAの進行を抑制した結果、テストステロンが毛根に届いて、髪の毛が太く丈夫になったということです。
日本で発毛効果が確認されている医療用成分はミノキシジルで、通常AGAの治療ではフィナステリド1mg+5%ミノキシジル外用薬がセットで処方されます。(5%ミノキシジル外用薬は市販薬としても購入可能です)
フィナステリドの正しい飲み方
AGA治療を目的でフィナステリドを服用する方は、必ずプロペシアかプロペシアジェネリックを服用してください。
プロペシアは1日1回1錠を水かぬるま湯でそのまま服用します。食事やアルコールの影響を受けないので飲むタイミングについては自由ですが、場合によっては眠くなることもあるので、夕食後か寝る前の服用がベストなタイミングだと思います。
飲む時間帯を決めておくことで飲み忘れの予防にもなります。
フィナステリドの眠気についてのまとめ
プロペシア単体では眠くなるという副作用がでる確率は低いのですが、他に持病があり服薬治療を受けている場合フィナステリドを併用すると、相互作用で眠くなるケースは否定できません。
これに対策するにはまず、「フィナステリドの処方医に現在服薬中の薬を全て伝える(薬の手帳を活用)」ことと、「治療中の病気は全て伝える」ようにしてください。
また、もともと血圧が低い方やフィナステリドに敏感な方は副作用として眠気を感じることが考えられます。
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