デュタステリドの女性化について!女性には禁忌の理由についても解説

脱毛治療イメージ

AGAの治療を受けた時、ほとんどの医療機関ではプロペシアが思ったような効果を得られない時にセカンドチョイスとしてデュタステリドを主成分としたザガーロが処方されます。
日本皮膚科学会が策定している2017年度版(最新版)の「男性型および女性型脱毛症の治療ガイドライン」でもデュタステリド内服治療は最高ランクの推奨度Aを獲得しています。
デュタステリドが「女性」というキーワードと結びつくと幾つかの注意点が出てくるので、今回は知られざるデュタステリドと女性との関係性について紐解いていきましょう。

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デュタステリドとは?

デュタステリドはザガーロというAGA治療用薬の主成分です。日本では2015年に厚生労働省が承認し、2016年から臨床医療の現場で用いられるようになりました。登場からまだ数年しか経っていない比較的新しい成分です。
デュタステリドもフィナステリド同様、5α-リダクターゼというAGAの原因因子に作用して、症状の進行を食い止める効果があるのですが、5α-リダクターゼにはI型とII型が存在し、フィナステリドがII型にしか作用しなかったのに対してデュタステリドは両方の型に作用するのでより高い治療効果を得ることができます。

効果について

デュタステリドはフィナステリドの改良版と言われている成分です。先の説明のとおり、フィナステリドはII型の5α-リダクターゼにしか作用しないのに対してデュタステリドはI型とII型の両方に作用するので、フィナステリドでは効果のでないAGAに対して処方されます。
フィナステリドの半減期が4時間程度なのに対し、デュタステリドの半減期は最大72時間で効果を維持する期間が長いので、1回〜2回ならば飲み忘れてもOKという点もメリットです。
単純に効果だけを比較すると、II型5α-リダクターゼの阻害効果はフィナステリドの約3倍で、これにI型の阻害効果も加わるため、フィナステリドでは十分な効果が得られないAGAに対して有効な2番目の選択肢ということになります。
プロペシアの3倍以上の効果を発揮する薬ならば最初からザガーロを処方したほうが良いという意見もありますが、副作用リスクはフィナステリドの約8倍で、フィナステリドでも70%近い治療効果が得られるため、現在でもAGA治療時に最初に処方されるのはプロペシア(フィナステリド)です。

デュタステリドと男性ホルモン

デュタステリドが作用するのは頭皮や前立腺付近に多く存在している5α-リダクターゼという酵素です。この酵素には育毛効果を持つテストステロンという男性ホルモンを、DHT(ジヒデロテストステロン)という異なる男性ホルモンに変異させる作用があります。
AGAは20代でも10%近い発症リスクがある皮膚疾患ですが、年齢を重ねるごとに発症率が上昇し、50代以降になると患者数が急増します。
これは加齢による基礎代謝の低下から男性ホルモン全体の分泌量が減り、頭皮付近のテストステロンの多くがDHTに変異させられていることを示唆しています。

デュタステリドを服用すると副作用で女性化する?

では、どうしてテストステロンはDHTに変異してしまうのでしょう?それはDHTが主に生殖活動に関与している性ホルモンだからです。
男性ホルモンは主に精巣で作られます。精巣は生殖器官なのでDHTの量が減ってしまうと、精巣や前立腺の機能も低下し、自律神経失調状態を起こす可能性があります。
人が生きていく上で毛髪問題というのは優先順位が低いので、脳は積極的にテストステロンをDHTに変換させるための指令を出すのです。
ところが、デュタステリドを使うと今度はDHTの量が減ってしまいます。多少減ってしまうのは問題ありませんが、減りすぎると男性の女性化現象が発生する危険性が高まります。
男性版の更年期障害と言われているLOH症候群の症例の一つに女性化乳房というのがありますが、これも男性ホルモンが減った結果、相対的に女性ホルモンが優位になり、乳腺が発達して乳房が膨らんでくるというものです。

副作用について

デュタステリドの作用によってDHTが減少すると起こるのは男性の女性化だけではありません。デュタステリドの服用によって起こり得る副作用を一覧にしてみたので参考にしてください。

主な副作用

  • 全体的な発症率:16.7%
  • 勃起不全:10.6%
  • リビドー(性欲)の低下:8.3%
  • 射精障害:4.2%
デュタステリドは男性の生殖機能に深く関与しているDHT(ジヒデロテストステロン)という男性ホルモンを作り出す5α-リダクターゼ酵素の働きを阻害するため、副作用としてED関連の症状が起こりやすくなります。

重篤な副作用

重篤な副作用は発症するにしても1%未満、普通は発症頻度稀(0.001%未満)という本当に少ない症状です。ただし一旦発症すると重症化しやすいタイプが多いので、服用中に何かしらの異常を感じた場合は、ただちに処方医に相談してください。

  • アナフィラキシーショック(発症頻度不明):発疹(1%未満)蕁麻疹、アレルギー反応、そう痒症、限局性浮腫、血管浮腫など
  • 精神症状:頭痛、抑うつ気分(1%未満)、浮動性めまい、味覚異常
  • 生殖系症状:乳房障害(女性化乳房、乳頭痛、乳房痛、乳房不快感)(1%未満)、精巣痛、精巣腫脹
などです。

女性はデュタステリドに触るのも禁忌?

デュタステリドは触れただけで皮膚から吸収されていく成分です。生殖機能が未発達の胎児や新生児がデュタステリドの影響で生殖器官に深刻なダメージが残る危険性があると示唆されているので、妊婦や授乳中の女性はザガーロやザガーロジェネリックには極力触れないようにしてください。

デュタステリドが女性ホルモンに与える影響とは?

デュタステリドが作用するのは、男性ホルモンを変異させる5α-リダクターゼという酵素です。酵素には一つの働きしかないので、デュタステリドが女性ホルモンに直接影響を与えるということはありません。
したがって女性型脱毛症(FAGA)に対しては効果がないということになります。

デュタステリドの効果が実感できるまでの期間

AGAの治療には長期的な視野が必要です。デュタステリドを服用しても実際に治療効果が実感できるまでには6ヶ月以上の継続投与が必要とされています。
効果をより確実にするには1年以上の服用が必要と言われています。ただし、AGAを長らく放置して完全脱毛を起こしてしまった場合は服薬治療では毛髪は再生しません。
早期発見と早期治療がAGA改善には必須なのです。

飲み方について

ザガーロにはデュタステリドの含有量が0.1mgと0.5mgの2種類あります。通常AGAの治療で使われるのは0.5mgで服用方法は1日1回までとなっています。
ザガーロは錠剤なので、コップ1杯以上の水またはぬるま湯と一緒に噛まずに飲み下してください。食事やアルコールの影響をあまり受けない薬なので飲むタイミングは自由ですが、血圧を下げる作用があり場合によっては副作用で眠くなる可能性もあるので、夕食後や寝る前に飲むのがベストだと思います。
一度服用して眠気を感じた場合は日中に服用するのを避けた方が良いでしょう。

デュタステリドと女性

デュタステリドを飲むと副作用で男性が女性化するというのはあくまでも、可能性の話であって現実的ではありません。もしデュタステリドを服用して女性化乳房などが発生した場合はAGAだけでなくLOH症候群(男性版更年期障害)を発症している可能性もあります。
また女性がデュタステリドを扱う際には本文にもあるように、FAGAの治療効果はないし、皮膚から浸透して何かと面倒臭い問題を引き起こす可能性があるので、極力薬には触れない方が良いでしょう。

デュタステリドと女性化についてのまとめ

デュタステリドはフィナステリドの改良版で効果が高い反面、副作用が出やすいので今でもAGAの治療時にはフィナステリドの次に選ばれる内服薬です。
デュタステリドの重篤な副作用の一つに「女性化」が挙げられますが、これは発症率が1%未満なので、それほど心配する必要はないでしょう。
ただし、40代半ばを過ぎてLOH症候群(男性版更年期障害)を起こしている人は比較的女性化しやすい傾向があるので、ネット通販で海外性のデュタステリドを購入するよりきちんとAGAクリニックで診察を受けながら医師の指導のもとで服用することをおすすめします。

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