男性向け育毛剤とは?種類・機能など気になるポイントについて調べてみました

育毛剤-img

20代のおよそ10%から始まって50代のおよそ40%強、60代後半になると60%以上の男性が発症すると言われているのがAGA(男性型脱毛症)です。
AGAは脱毛症全体の85%以上を占めると言われ、その数は年々増加傾向にあると言われています。しかも進行性なので、なんの対策も立てないと症状がどんどん進行していく皮膚疾患なのです。

AGA対策として一番に思いつくのが男性用育毛剤ですよね。今回は男性用育毛剤についてみんな知っていそうで知られていないいろいろな事実を調べてみたので、これから育毛剤を使おうと思っている男性は参考にしてください。

男性用育毛剤の機能とは?

男性の薄毛や抜け毛の悩みの中でもダントツに数が多いのはAGAです。AGAは日本語名を「男性型脱毛症」といいます。その名前からも分かる通り、男性特有の脱毛疾患です。

年代別・AGAの発症率

年代発症率
20代10%
30代20%
40代30%
50代40%以上
60代〜60%以上

年代ごとに10%ずつアップし、50代からさらに発症率が上がり、60代以上になると60%以上の人が発症する皮膚疾患です。

なので、育毛剤の多くがこのAGA対策用として開発されています。AGA治療薬には飲み薬(プロペシア、ザガーロなど)と塗り薬(リアップシリーズ、スカルプDメディカルミノキ5)が正式に承認されています。

プロペシアやプロペシアジェネリック、ザガーロなどの飲み薬は「医療用医薬品」なので皮膚科やAGAクリニックなどの医療機関を受診して処方を受ける決まりがあり、一般の薬局やドラッグストアでは購入できません。

AGAは発症のメカニズムが解明されていますが、進行性疾患なので一度発症してしまうと症状がどんどん進んでいきます。また治療薬も脱毛症状を遅らせるのが目的で、根治治療ではありません。

ただし、医薬品のAGA治療薬は飲み薬、塗り薬(ミノキシジル製剤)ともに70%以上の高い治療効果が確認されています。

男性用育毛剤と女性用育毛剤の違いって?

男性用育毛剤と女性用育毛剤を比較した場合、医薬品は男性用の方が成分が高配合で効き目が強いという違いがあります。

これは男性と女性では脱毛症が起こるメカニズムが異なってくるからです。育毛剤なら「5%ミノキシジル配合剤」が国内ではもっとも効果の高い医薬品育毛剤です。

日本皮膚科学会が策定する「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」でも男性の5%ミノキシジル外用薬を使用する推奨度はA(強く行うよう勧める)になっています。

また女性の脱毛症(FAGA、びまん性脱毛症)には1%ミノキシジル外用薬の使用が推奨されているのですが、その理由として臨床データ上2%以上のミノキシジル外用薬については相対危険度が2倍以上に上昇してしまうからです。

男性用育毛剤のデメリット・副作用などについて知りたい

男性用育毛剤とは主にAGA対策ですので、医薬品や医薬部外品(薬用)が主流になります。
医薬品と医薬部外品には…

  • 医薬品:治療を目的として使用する
  • 医薬部外品(薬用):予防を目的として使用する

という違いがあります。副作用についても医薬品の方が強く、ミノキシジル製剤を使った場合、「かゆみ」、「湿疹」、「発赤」、「脂漏性皮膚炎(フケが大量にでる)」、「めまい」、「浮腫」などが副作用として報告されています。

また医薬品には必ずアナフィラキシーショックという薬剤性アレルギーへの注意喚起が行われています。ミノキシジルアレルギーには「頭痛」、「めまい」、「浮腫」、「広範囲の発赤や湿疹、かゆみなどの皮膚症状」、「動悸、息切れなどの心臓症状」、「呼吸が荒くなる」などの副作用が報告されていますが、発症頻度は0.1%以下とごくわずかです。

医薬品は治療に用いられるため、このように副作用についてのエビデンスもしっかりとしていますが、医薬部外品や化粧品のカテゴリーの育毛剤についても皮膚症状などのリスクが存在するということを覚えておきましょう。

万が一、副作用や報告されている症状以外の体調不良を感じた場合は使用を一旦中止し、皮膚科やAGAクリニック、または薬剤師に相談してください。

男性用育毛剤のホルモン抑制作用とは?

AGAの治療中によく聞くのが「ホルモン抑制作用」です。これは男性ホルモンの合成が抑制され、性欲低下やED(勃起障害)、前立腺機能障害を起こすという状態です。

では、どうしてAGA治療中にホルモン抑制作用が起こるのかについて説明していきたいと思いますが、その前にAGAの発症メカニズムについてお勉強していきましょう。

AGA発症のメカニズム

AGAを知るためには3つのキーワードを覚えておいてください。

  • 5α-リダクターゼ(酵素)
  • テストステロン(男性ホルモン)
  • DHT(ジヒデロテストステロン:男性ホルモン)

です。脱毛症は男性ホルモンが多いと起こると誤解されていますが、テストステロンという男性ホルモンには生え始めた毛を太く丈夫にする育毛効果があるのです。

このため、頭皮にはテストステロンを受け取って毛根に届けるテストステロン受容体(レセプター)という物質が存在し、毛根にテストステロンを届けています。

ところが頭皮には5α-リダクターゼという酵素があり、この物質がテストステロンをDHT(ジヒデロテストステロン)という違う男性ホルモンに変異させてしまいます。

DHTは変異してもテストステロンとよく似た組成をしているため、レセプターが受け取り毛根に届けてしまいます。しかしDHTには育毛効果がないため、毛周期の成長期が極端に短くなり、すぐに退行期へと移行し、脱毛症が発生・進行していくというのがAGA発症のメカニズムです。

DHTの働き

ではどうしてわざわざテストステロンがDHT(ジヒデロテストステロン)に変異してしまうのでしょう?

実はDHTにも重要な働きが沢山あり、いわゆる男性ホルモンの働きというは主にDHTが作用して起こるものが多いのです。具体的には

  • 生殖活動
  • 意欲や集中力の向上
  • 抗ストレス作用
  • 体温の上昇
  • 男性らしい体つきにする

などです。

育毛剤のホルモン抑制作用

AGAは50代になると全男性の40%〜50%の割合で発症します。約半数ですから相当な数ですよね。男性も40歳ころになると精巣の機能が低下して、男性ホルモンの分泌量が減ってしまいます。

男性の性ホルモン分泌量減少からくる体調不良のことを「LOH症候群」といいます。

DHTの量が減ると「ED」や「うつ状態」、「慢性的な倦怠感」などの精神症状がでやすくなるので、それを回避するために頭皮にあるテストステロンをDHTに変異させる指令が脳から発せられるのです。

AGAの治療を行うことで、脱毛症は改善してもそれで男性ホルモンの分泌量自体が増えるわけではないので、相対的にDHTの量が減ってしまい「LOH症候群」が起こりやすくなってしまうことになります。これが「ホルモン抑制作用」と言われているのです。

男性用育毛剤の医薬品について教えて

男性用育毛剤の中で医薬品に指定されているのは「リアップシリーズ」と「スカルプDメディカルミノキ5」です。

リアップシリーズの中でもっともミノキシジル配合量が多いのは「リアップX5プラス」で「スカルプDメディカルミノキ5」同様5%ミノキシジル配合剤になります。

5%ミノキシジル外用薬(塗り薬)のAGA改善効果は中等度以上の改善効果が70%以上と、かなり高い有用性がある一方、副作用もでやすいので購入するときは薬剤師の説明をよく受けてからにしてください。

男性用育毛剤が効果を発揮する脱毛について

男性用育毛剤が効果を発揮するのが主にAGAというのは前のパートでも説明した通りですが、AGAは壮年性脱毛症の一種であり、ミノキシジルは壮年性脱毛症全体に治療効果があるので、AGA意外の脱毛症について説明していきたいと思います。

壮年性脱毛症

  • AGA
  • FAGA(女性型脱毛症)
  • びまん性脱毛症:女性に多い脱毛症

FAGA(女性型脱毛症)というのは2017年に日本皮膚科学会のガイドラインで改定された病名で、AGA同様に5α-リダクターゼ由来の脱毛症ですが、症状の現れ方がびまん性脱毛症と酷似しているため、長らくびまん性脱毛症として治療が行われていました。

男性にも発症例は少ないですが、びまん性脱毛症の患者が存在するので、びまん性脱毛症(非5α-リダクターゼ由来)の治療時には内服のAGA治療薬ではなく、リアップやスカルプDメディカルミノキ5での治療、または同等のミノキシジルを医療機関で調合したミノキシジル外用薬が処方されます。

男性用育毛剤の安全性について

育毛剤は毛周期を元のサイクルに近づけていくための薄毛対策用品です。そのため効果を実感するまでには医薬品で少なくとも6ヶ月(早い人で3ヶ月)以上使い続ける必要があります。
しかもAGAは進行性疾患であり、症状が改善しても使い続けた方が良いとされているので、安全性については気になるところですね。
医薬品のミノキシジル製剤の副作用発生率は10%以下です。多少の発赤や刺激感ならば使い続けることが推奨されています。医薬部外品やそれ以外の育毛剤は医薬品ほどリスクは高くないというのが一般的ですが、肌が弱い人には、肌のかゆみや血流が改善した時に頭痛や頭がぼーっとする、などの不具合を感じることがあります。
無添加・自然派・ボタニカルなどを謳っていても、アレルギーは起こってしまうものですので、使用中に異常を感じたら使用を中止して皮膚科や薬剤師に相談してください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です