白髪というのは頭皮トラブルで起こる毛髪の脱色症状ですが、これも医学的には脱毛症の一症状ということになっています。
男性は中高年になるとAGA(男性型脱毛症)が急増し、半数以上の方が発症すると言われています。
では、白髪が脱毛症ならばAGA治療薬のデュタステリドも白髪に効果があるのでしょうか?今回はそんな気になるデュタステリドの白髪治療効果について詳しく解説していきます。
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目次
デュタステリドについて
デュタステリドは世界で2番目のAGA治療用内服薬として開発されたザガーロの主成分です。もともとは前立腺肥大症やそれに伴う高血圧の治療用に開発されたのですが、治験時に副作用としてAGA改善効果が報告され、その後本格的に薄毛治療薬としての開発が始まりました。
日本では2015年に厚生労働省が承認しています。
デュタステリドは医療用医薬品の指定を受けているので、一般薬には配合されていません。ザガーロを入手するには皮膚科やAGAクリニックで治療を受ける必要性があります。
デュタステリドはこうしてAGAを治す
脱毛症というのは民族性や地域性がある皮膚疾患だと言われているのをご存知ですか?例えばAGAには幾つかパターンがあって、日本人に多いのはM字ハゲ、ついでO字ハゲなのですが、西洋人(特に白人)にはO字ハゲが最も多いと言われています。ラテン系もM字ハゲの印象が強いですよね。
これはAGAの原因物質「5α-リダクターゼ」という酵素の分布が民族や地域によって異なるからだと考えられています。
ただ、どうしてそうなるのかは未だ解明されていませんが、日本人やラテン系の男性は額の生え際にこの酵素が集中しているので、M字ハゲが多くなるという仮説が有力視されています。
そしてデュタステリドはこの原因物質「5α-リダクターゼ」の働きを無効化して症状の進行を食い止めるための治療薬です。
実はデュタステリドに白髪を治す効果はない?
それではここでAGAを正しく知るために原因物質の5α-リダクターゼがどうしてAGAを引き起こしてしまうのかを説明していきましょう。
まず、5α-リダクターゼは酵素であり、酵素は人が生きていく上で欠かせない物質なのですが、働きは1つしかありません。そして、5α-リダクターゼのたった一つの働きというのは男性ホルモン「テストステロン」をDHT(ジヒデロテストステロン)という別の男性ホルモンに変異させることです。
デュタステリドは5α-リダクターゼに作用する薬なので、薬効はテストステロンがDHTに変異するのを防ぐということであり、白髪の発生を直接抑制できるものではありません。
男性ホルモンとAGA
男性ホルモンが多いとハゲになる…。実はこの話は真っ赤な嘘です。男性ホルモンにもいろいろな種類があり、一つの性ホルモンには数百種類もの働きがあります。
テストステロンは男性ホルモンの大半をしめる物質で、集中力ややる気の向上に関与しているので、脳の付近にたくさん存在しています。そしてこのホルモンには「育毛作用」があるのです。
つまり、私たちの毛髪を元気にするのも男性ホルモンの役割なんですね。かたやDHTは主に男性の生殖活動に関与しているホルモンです。
どちらも男性にとっては非常に重要なホルモンなのですが、DHTが減少してしまうと男性ホルモンを作り出す精巣の機能が低下してしまい、男性ホルモンの全体量が少なくなってしまいます。
それを防ぐために脳はテストステロンを減らしてでもDHTに変異させる指令を出すのです。
テストステロンの黒髪効果は解明されていない
テストステロンに育毛効果はあるのですが、黒髪の色の元はメラニンという色素で、これは頭皮の奥や毛母細胞内にあるメラノサイトという細胞が作り出すものです。
この辺りはまだ完全に解明されていないのですが、テストステロンとメラノサイトには何らかの因果関係がある可能性が示唆されているだけで、テストステロンが増えると黒髪になるとか肌の色が黒くなるという根拠はありません。
したがってデュタステリドを服用してテストステロンの量が増えても必ずしも白髪が改善するという医学的な根拠はないのです。ただし、育毛効果があるということは毛母細胞内のメラノサイトに働きかける作用があるのではないか?という仮説もあります。
年齢と男性ホルモン分泌量の関係
人の性ホルモン分泌量は男女共20代をピークにしてその後は減少の一途をたどります。テストステロンも非常に重要な働きをするホルモンなのですが、DHTが減少してしまうと、精巣の働きが鈍り男性ホルモン全体量が不足して、LOH症候群という男性版更年期障害を発症してしまうリスクが高まります。
加齢によって性ホルモンの分泌量が低下していくのは自然な現象ですが、それによって心身に不具合を起こすのはよろしくないので、脳はテストステロンを減らしてでもDHTの量を維持しようとします。
白髪は「老い」の象徴でもあるので、男性ホルモン分泌量の低下と白髪には何らかの関係性が深いと考えることもできます。
ミノキシジルを併用したら白髪には効果的?
日本皮膚科学会が策定しているAGA治療ガイドラインではファイナステリド内服と5%ミノキシジル外用薬が推奨度A(行うことを強く勧める)という位置付けになっています。
実際のAGA治療現場でもデュタステリド+ミノキシジルというのは最初に処方される薬です。
ミノキシジルには高い血管拡張作用があり、発毛効果が認められている成分です。
つまりAGAの標準治療はデュタステリドで症状の進行を食い止め、ミノキシジルで発毛させるということになります。
またAGAは頭皮トラブルなので頭皮の毛細血管が開いて血流が改善すると頭皮環境が整い、不活性化していた毛母細胞内のメラノサイトの再活性が期待できます。
デュタステリドやミノキシジルが直接メラノサイトに働きかけるかどうかは今のところ不明ですが、AGA治療で白髪が改善する可能性は十分に期待できます。
デュタステリドと白髪のまとめ
白髪というのは言ってみれば生気を失った弱い毛髪です。健康な毛と比べてみると色が白いだけでなく細くて弱々しく、乾燥してハリもツヤも失われていますよね。
脱毛症を起こすと毛根が弱り、本来ならば成長していなければならない時期にもかかわらず抜けてしまいます。白髪はかろうじて残っている毛髪という感じです。
AGAは頭皮疾患の一種なので、頭皮環境を改善するとヘアサイクルが元に戻り、脱毛も改善されていきます。デュタステリドはAGAの原因物質を阻害する薬ですが、色素を増やす作用は確認されていません。ただし、ヘアサイクルが正常化すると生え変わってきた髪の毛には黒さが蘇っている可能性というのは十分に期待できます。
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