絶対にやってはいけない!夫婦で育毛剤をシェアしてはいけない理由

女性も40代をすぎると気になり始めるのが「脱毛の悩み」です。
近年女性の脱毛症についても研究が進み、ある程度原因や治療法が確立されつつありますが、根本的に脱毛のメカニズムが男性とは異なるものです。
「脱毛症」治療薬として薬局で買える一般薬に「ミノキシジル」を配合している育毛剤がありますが、女性の脱毛症に使用する時には注意が必要な医薬品なので、夫婦でシェアすることは絶対に避けてください。

ライタープロフィール

<マイペース型三重苦のオッサン>
初めまして、ライター歴は6年以上とそこそこ長い五十路のオッサンライターです。
melbyでは主に「脱毛」や「育毛」に関する記事を書いていますが、自分の頭も相当ヤヴァイです。

育毛剤には「医薬品」と「医薬部外品」など用途が異なる製品があるので要注意!

かつては男性特有の悩みだと言われていた「脱毛」ですが、近年女性の間でも脱毛の悩みは拡大していて、ネット通販やドラッグストアには「女性向け育毛剤」のコーナーが作られるなど、隠れたヒット商品になっています。

しかし、みなさん「脱毛症」というのがれっきとした皮膚病ということはご存知ですか?そして育毛剤はこの病気の治療用(医薬品)と予防用(医薬部外品など)に分けられています。

さらに、男女の脱毛症は違う病気なので、育毛剤を間違って使うと思わぬ健康被害を起こすリスクがあるため、医薬品の育毛剤を男女でシェアするのは禁物です。

男性の脱毛症

脱毛症全体のおよそ8割強を占めるのがAGA(男性型脱毛症)です。この脱毛症は原因が特定されていて、治療法も確立されています。

その治療法がAGA治療薬(内服薬)+5%ミノキシジル外用薬(塗り薬)の併用です。この治療法は日本皮膚科学会が策定している最新の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」の中でも推奨度A(行うよう強く勧める)になっていて、AGA治療では第一選択肢となる治療法です。

ミノキシジル外用薬は医療機関で処方されるものもありますが、一般薬(売薬)でも5%ミノキシジルが最大配合量で調剤されている「リアップX5プラス(大正製薬)」と「スカルプDメディカルミノキ5(ANGFA)」の2種類は薬局で購入することができます。なので旦那さんが使っているというご家庭も多いのではないでしょうか?

日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」の推奨度について

日本皮膚科学会とは日本の皮膚科医によって組織されている学会で、各皮膚疾患の治療に関するガイドラインを策定しています。最新の2017年版ではAGA(男性型脱毛症)とFAGA(女性型脱毛症)の治療法について次のような推奨度別に分類されています。

  • 推奨度A:行うよう強く勧める
  • 推奨度B:行うよう勧める
  • 推奨度C1:行ってもよい
  • 推奨度C2:行わないほうがよい
  • 推奨度D:行うべきではない

AGA治療薬と5%ミノキシジルの推奨度について

このガイドラインではAGAとFAGAの治療法について、以下の図に示すような推奨度で策定されています。

「フィナステリド」と「デュタステリド」というのはAGA治療薬(飲み薬)の主成分です。AGA(男性型脱毛症)には推奨度AですがFAGA(女性型脱毛症)は推奨度Dになっています。
また、ミノキシジル外用(塗り薬)は双方ともに推奨度Aになっていることがわかります。

このことからミノキシジル外用薬はFAGAについても治療効果が認められるということになります。

女性の脱毛症

女性に最も多い脱毛症は「びまん性脱毛症」と言われています。この脱毛症の原因は主に

  • 加齢
  • 女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量不足
  • 精神的なストレス
  • 生活習慣の乱れや過激なダイエット
  • 睡眠不足

などであるといわれていますが、最も大きな原因は「加齢からくる基礎代謝の落ち込み」と「加齢によるホルモンバランスの乱れ」、すなわち更年期以降の老化現象と考えられています。

AGAは男性ホルモンの分泌量不足によるDHT(ジヒデロテストステロン)の増加が直接的な原因なので、AGAと女性の脱毛症は異なる疾患ということになります。

びまん性脱毛症とFAGAの違い

FAGA(女性型脱毛症)はF(Female=女性)とAGA(男性型脱毛症)が組み合わさった病名です。発症のしかたはびまん性脱毛症とよく似ていることと、女性の脱毛症は近年になってようやく研究が盛んに行われるようになったので、長らくびまん性脱毛症とFAGAは同一の病気と考えられてきました。

ところがびまん性脱毛症の中にもAGA治療薬(飲み薬)が治療効果を示すAGA型の症例が確認されたため、びまん性脱毛症とは別に「FAGA」という病名が2017年になって正式に承認されました。しかしまだFAGAに対するAGA治療薬投与の臨床例は少ないため、ガイドラインでは推奨度D(行うべきではない)になっています。

FAGAに対するミノキシジル外用薬の有用性

同ガイドラインではFAGAに対するミノキシジル外用薬の推奨度はAランクですが、国内で承認されているミノキシジル製剤には配合量が1%と5%のタイプがあります。
そして、このガイドライン中にもAGAとFAGAでは使用されるミノキシジルの濃度の違いで推奨度Aになるという記述があるので、その部分を抜粋してみました。

CQ3:ミノキシジル外用は有用か?
推奨度:A
推奨文:ミノキシジル外用を行うよう強く勧める (男性型脱毛症:5%ミノキシジル,女性型脱毛症:1%ミノキシジル). 解説:ミノキシジルの有用性に関して,男性型脱毛 症に対する 14 件のランダム化比較試験41)~54)と 1 件のシ ステマティック・レビュー55),女性型脱毛症に対する 10 件のランダム化比較試験56)~65)と 1 件のシステマ ティック・レビューが実施されている66).
(中略)
以上のように,ミノキシジル外用の発毛効果に関して,高い水準の根拠があるので,男性型脱毛症に 5% ミノキシジル,また女性型脱毛症に 1%ミノキシジル を外用するよう強く勧める

(引用元:「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」)

つまり、女性に対する5%ミノキシジル製剤の使用は安全性が確認されていないので、女性への5%ミノキシジル製剤の使用は推奨されていないということになります。

市販のミノキシジル製剤について

冒頭の方でも紹介したように、市販のミノキシジル製剤には「リアップシリーズ(大正製薬)」と「スカルプDメディカルミノキ5(ANGFA)」があります。このうち、1%ミノキシジルと5%ミノキシジルをラインナップしているのは「リアップシリーズ」のみです。「スカルプDメディカルミノキ5(ANGFA)」は5%ミノキシジル製剤なので女性の脱毛症には使用できません。

一方のリアップシリーズにはFAGAの治療用に「リアップジェンヌ」という製品がリリースされているので、女性は薬剤師や皮膚科に相談した上で、リアップジェンヌを使うようにしてください。

医薬部外品(こちらは治療ではなく予防が目的)にはこうしたガイドライン上の規定はないので、夫婦で使用することも可能ですが、医薬品のミノキシジル製剤は「治療」が目的なので、夫婦といえどもシェアすることはやめておくべきなのです。

【まとめ】夫婦で育毛剤を絶対にシェアしてはいけない理由

このように同じ脱毛症でも性別によって発症原因やメカニズムが異なってきます。「医薬品」カテゴリーの育毛剤はあくまで「特定の脱毛症の治療」に用いる薬なので、症状が異なる脱毛症に対して同じ育毛剤をシェアするというのはやめるべきでしょう。

特にミノキシジル製剤は効果が高い反面、副作用を起こしやすい傾向の薬なので、取り扱いには十分注意してください。

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