近年薄毛や抜け毛などの毛髪トラブルに効果があるということが判明し、育毛サプリの中核的な成分として「ノコギリヤシ」が注目されています。
しかし、女性がノコギリヤシを服用する時の注意喚起が出されたこともあり、いろいろな憶測混じりの情報が錯綜しています。
そこで今回は「ノコギリヤシ」と「女性」というキーワードに着目して、気になるノコギリヤシという成分を掘り下げていきたいと思います。
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目次
ノコギリヤシについての概要
ノコギリヤシはアメリカ大陸原産のヤシ科の植物です。古くからアメリカ先住民族の間では中高年男性特有の諸問題を解決するハーブとして用いられてきました。
ヨーロッパでは前立腺肥大症やそれに伴う高血圧を緩和する代替医療用成分としても認められているほど効果が高いハーブエキスです。
葉っぱがノコギリのようにギザギザしている見た目から「ノコギリヤシ」と呼ばれていますが、サプリメントに配合されているエキスは主に果実から抽出されたものです。
近年ではさらにノコギリヤシ成分の研究が進み、薄毛や抜け毛などの毛髪トラブル対策としても有効ということが判明し、育毛サプリではマストな成分として活用されています。
女性の薄毛に対する効果
ノコギリヤシが配合されている多くの育毛サプリは男女の別なく飲むことができます。ただし、何事も飲み過ぎはNGです。
実はいまだ詳細は解明されていませんが、海外では「妊娠中の女性がノコギリヤシエキスを過剰摂取すると胎児に生殖系に何らかの影響を与える可能性がある」ということが報告され、注意喚起が出されました。
ただし、あくまでも「過剰摂取」した場合に限定されていますので、通常摂取の範囲では問題はありません。
またノコギリヤシが女性に与える悪影響というのも解明されていないので(もし大きな問題があればすでにエビデンスが存在するはず)、1日の摂取目安量を守っていれば特に悪影響をおよぼすことはありません。
しかしながら、念のため妊娠中の女性が産後脱毛の予防目的でノコギリヤシが配合された育毛サプリを利用する場合は産婦人科のドクターに相談の上で導入してください。
更年期の女性がノコギリヤシを飲んだ場合どうなるの?
更年期というのは閉経をはさんだ前後5年間のことです。日本人の場合、閉経を迎える平均的な年齢が50歳前後なので、一般的には女性の45歳〜55歳までを更年期と言います。
更年期を迎えると、卵巣の機能が次第に低下し女性ホルモンの分泌量が不安定になります。特にエストロゲンという女性ホルモンには人体にとって重要な働きが多く、自律神経に働きかけ血圧を下げようとする作用があります。
ノコギリヤシにも血圧を下げる作用があるので、エストロゲン不足で血圧が上がり気味の方には有効性があると考えられます。
ただし、もともと低血圧気味の方や更年期障害の治療を受けている方がノコギリヤシの配合されているサプリメントを服用する時はあらかじめ主治医に相談することをおすすめします。
女性がノコギリヤシを飲むとヒゲが生える?!
ノコギリヤシは男性の生殖器障害(前立腺肥大症や5α-リダクターゼへの作用など)に効果があると言われているため、女性が飲むと男性化しヒゲが生えるという噂がありますが、これは都市伝説と考えて良いでしょう。
5α-リダクターゼについて
5α-リダクターゼは頭皮や前立腺付近に多く存在する酵素です。この酵素はテストステロンという男性ホルモンをDHT(ジヒデロテストステロン)という違う種類の男性ホルモンに変異させますが、この作用しか有していません。
前立腺というのは男性特有の生殖器官なので、女性に対しノコギリヤシが直ちに作用して全身多毛症を引き起こすようなことはありません。
ただし、更年期障害などでホルモンバランスが乱れると相対的に男性ホルモンが優位にたち全身多毛が起こるケースがありますが、これもレアなケースです。
ノコギリヤシを飲むと女性化する?
DHTは男性の生殖活動を活性化させるホルモンなので、逆にノコギリヤシによって5α-リダクターゼの働きが阻害されてしまうと男性が女性化するという話もあります。
多くの場合はこれも眉唾です。しかし、男性がノコギリヤシサプリを飲む機会が増えるのは前立腺肥大が気になりだす50歳以上です。
この年齢に達すると男性もホルモンバランスの乱れが生じ、様々な健康上の異常を感じるLOH症候群(男性版更年期障害)を発症しやすくなります。
精巣や前立腺の機能が低下することで、男性ホルモンの分泌量が減り、相対的に女性ホルモンが優位になって女性化乳房(女性のように乳房が膨らむ)という症状を起こすことは起こり得ますが、これがノコギリヤシによって誘発されるという報告はありません。
女性の頻尿に対する効果
ノコギリヤシは中高年男性の頻尿や夜間頻尿に効果があるというのはすでに明らかにされていますが、女性の頻尿についてはどうなのでしょう?
頻尿と一口にいっても色々と種類があるので、頻尿の種類ごとにまとめて解説していきましょう。
男性の頻尿:前立腺肥大にともなう排尿障害
男性に最も多い頻尿は原因疾患に前立腺肥大症が存在しているという点です。前立腺は男性にしかない生殖器官なので女性の頻尿とは少し異なってきます。
前立腺が肥大すると尿道を圧迫して1回の尿量が減り、頻繁に尿意を感じるようになります。夜間頻尿も男性の場合は前立腺肥大症が原因で起こる排尿障害です。
前立腺肥大は65歳以上の高齢者の半数近くが発症するので、男性の頻尿は前立腺肥大による排尿障害が最大の原因になります。
ノコギリヤシは前立腺肥大に効果があるということで注目されているハーブです。
女性の頻尿:尿路感染症
比較的若い女性に多い頻尿は尿路感染症によるものと考えられています。女性の場合膀胱と尿路が近いところにあるため、病原菌に感染すると炎症を起こし、排尿時に痛みや残尿感を感じるようになります。
若い女性でも冷え性や低血圧の人は免疫力が低下しているので、尿路感染症をおこしやすいといわれています。
ノコギリヤシには血流を改善して体を温める作用があるので、尿路感染症やそれに伴う排尿障害の予防と改善にも効果が期待できますが、即効性よりも長く飲み続けて冷え体質を改善するというイメージです。
女性の頻尿:過活動膀胱
中高年の女性に多い頻尿の原因には「過活動膀胱」が考えられます。詳細な原因は不明ですが、更年期以降に多くなるので、ホルモンバランスが乱れることで自律神経失調状態になり、ちょっとした刺激にも敏感になって膀胱が尿意シグナルを発するという神経性の疾患です。
泌尿器科や神経内科等で治療を受けることになりますが、ノコギリヤシの血流改善効果によって自律神経の働きをサポートし、症状が和らげることは期待できますが、こちらも即効性よりも持続性を期待して服用し続けることが重要だと思います。
ノコギリヤシが女性に与える影響についてのまとめ
ノコギリヤシは欧米では古くから民間療法や代替医療に用いられてきた歴史の長いハーブです。
主に男性の泌尿器系や脱毛改善に効果があるということで注目されていますが、血流を改善する効果にも優れているため女性の体質改善にも有効であると考えられます。
多くの育毛サプリにはノコギリヤシが配合されていて、女性も服用可能なので気になるかたは一度試してみると良いでしょう。
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