男性の場合、早い人は20代から薄毛が始まります。その割合は10%…10人に1人が20代ですでに薄毛の悩みを感じるようになるというのですから、深刻ですよね。
さらに、AGA(男性型脱毛症)は年代が上がるたびに10%ずつ上昇していくと言われています。つまり50代の男性の40%以上が薄毛に悩むようになり、高齢者になると60%以上の人が薄毛になるのです。
薄毛の悩みを解消するための対策としてまず一番にあげられるのが「育毛剤」ですね。近年は女性にも薄毛の悩みを抱える人が増えているので、育毛剤は隠れたヒット商品になっています。そこでどんな育毛剤が効果的なのかについて検証してみました。
目次
育毛剤の効果とは?
育毛剤の効果を一口でいうと「毛周期を元の状態に近づける」ということです。毛周期とは毛が生え変わるサイクルのことで、健康な毛髪の場合、2年〜4年で全て生え変わります。
AGA(男性型脱毛症)やその他の薄毛の悩みというのはなんらかの原因で毛周期が乱れ、毛髪の寿命が極端に短くなってしまうことで発生するのです。
毛周期について
毛周期には「成長期(初期)」、「成長期(中期)」、「成長期(後期)」、「退行期」、「休止期」という5つのステージに大別され、健康な毛髪では次の表のような状態が維持されています。
ステージ | 毛髪の状態 |
---|---|
成長期(初期) | 新しい毛根と毛ができる時期。まだ見た目には無毛の状態 |
成長期(中期) | 毛根が成熟し、毛穴の外に毛が伸び太く成長していく時期 |
成長期(後期) | 毛が完成し、毛根と毛の成長が止まる時期 |
退行期 | 毛細血管と毛根の接続が遮断され、脱毛が起こり始める時期 |
休止期 | 脱毛して新しい毛根を作るための準備期間 |
AGAやその他の脱毛症ではこのサイクルが狂い成長初期や中期からいきなり退行期へとジャンプしてしまうのです。
育毛剤の効果を絶大にするには早めの薄毛対策を!
日本で一般的な育毛剤は「塗るタイプ」です。脱毛を起こしている部分に育毛剤を塗布してマッサージをすることで有効成分が頭皮に浸透していき、血流を高め、弱った毛根に栄養と酸素を届け、毛周期の乱れを段階的に元の状態に近づけていくのが王道の薄毛対策になります。
しかし、脱毛が進んで毛穴の中にあるバルジ領域という発毛器官が完全に消失してしまうと、その毛穴からは二度と毛が生えてきません。
この状態を「完全脱毛」と言います。成人の毛穴の数は減ることがあっても増えることはないので、完全脱毛を起こしている毛穴にいくら育毛剤を塗布しても、それは無駄な努力なのです。
AGAをはじめとする脱毛症は進行性なので放っておくと状態がどんどん悪化していきます。つまり、育毛剤の効果を最大限発揮するためには早めの対策をとることが重要。20代で既に10%のAGAを起こしているという統計からも育毛対策は20代になったら始めるのがおすすめなんですよ。
もちろん、30代や40代の方も諦める必要はありませんが、脱毛班(抜け毛や薄毛が気になる部分)があるなら皮膚科やAGAクリニックに相談して、その脱毛班の状態を正確に把握するのが良いでしょう。
薄毛の悩みは遺伝ではない?
男性の場合50代になると40%以上の人がAGA(男性型脱毛症)を起こすことから、多くの人は薄毛が「遺伝によるもの」と諦めています。しかし、本当の薄毛の原因は
- 加齢や運動不足による基礎代謝の低下
- 加齢やストレスによるホルモンバランスの乱れ
- 生活習慣の乱れ:暴飲、暴食、睡眠不足、過激なダイエットなど
です。遺伝的な要因も0ではありませんがせいぜい1%以下程度なので遺伝というよりも「老化現象」や「生活習慣病」という性格の方が強いということになります。
だからこそ、はやめに育毛剤を使って薄毛対策をとることに大きな意味があるのです。
育毛剤の種類によって効果が違う?
市販の育毛剤には
- 医薬品:壮年性脱毛症の治療を目的に用いる(商品名:リアップシリーズ、スカルプDメディカルミノキ5)
- 医薬部外品(薬用):治療目的ではなく予防目的で用いる(商品名:チャップアップ、紫電改など)
がありますが、それ以外にも化粧品にカテゴリーされているものもあります。いずれも頭皮の巡りを良くして、毛周期を元の状態に近づけていくことを目的として使用します。
育毛剤の効果が出るまでにはどれぐらい時間がかかる?
毛周期の休止期はだいたい3ヶ月〜5ヶ月と言われています。この時期が育毛剤の有効成分がもっとも効果を発揮する時期ですので、少なくとも3ヶ月〜6ヶ月は使い続ける必要があります。
さらに毛周期がすぐに元の状態に近づくというわけでありません。AGAは進行性の脱毛症なので、育毛剤も使い続ける必要があります。
ちなみにAGA治療薬(プロペシアやザガーロ)と育毛剤を合わせて使った場合、中等度以上の改善傾向が見られるのは3年間の連続投与で60%〜70%と言われていますので、特に肌に合わなくて皮膚トラブルを起こしているような状態ではない限り、途中でやめないほうが良いということになりますね。
薄毛の悩みナンバーワンはAGA
脱毛症全体のおよそ85%を占めているのがAGA (男性型脱毛症)と言われています。AGAは5α-リダクターゼという酵素によってテストステロン(男性ホルモン)がジヒデロテストステロン(DHT)という物質に変異することで起こります。
AGA治療に用いられている内服薬(プロペシアやザガーロ)はこの酵素の働きを邪魔する作用があるので、AGAに対しては70%以上の高い治療効果がありますが、それ以外の脱毛症(びまん性脱毛症や円形脱毛症など)には効き目がありません。
つまり、今起こっている「脱毛」の正体を見極めて適切な育毛剤を使うことが重要なのです。
塗り薬の有効成分「ミノキシジル」はAGA、FAGA(女性型脱毛症)、びまん性脱毛症などの壮年性脱毛症の治療に効果を発揮します。
女性用育毛剤は男性向け育毛剤と効果が違うの?
女性の脱毛は男性が起こすAGAとは発症原因が異なってきます。近年注目を集めているFAGA(女性型脱毛症)はAGAと同じように5α-リダクターゼが発症原因物質と考えられていますが、まだ全容の解明には至っていません。
女性にもっとも多いとされている「びまん性脱毛症」も加齢が要因ですが、こちらは「エストロゲン」という女性ホルモンの分泌量が減ってしまうことが直接の原因ではないかと考えられています。
びまん性脱毛症は50代の女性がもっとも多く、日本人女性の平均的な閉経年齢と一致するので、更年期との因果関係が強く疑われているのです。エストロゲンには血管を拡張させる作用があるため、ミノキシジルのもつ血管拡張効果で、びまん性脱毛症の進行を遅延させることが可能になります。
その他チャップアップなどの医薬部外品に含まれているハーブや和漢成分にも血行を促進させ、頭皮を清潔に保つ作用があるので、びまん性脱毛症のケアには最適な育毛剤と言えます。
育毛剤をより効果的に使うために見直したいこと
毛周期が乱れると脱毛が起こる…毛周期を乱れさせる原因は様々ですが、ほぼ全ての脱毛症に言えることがこれです。
毛周期を正常にするためには血流を改善して毛根に過不足なく栄養と酸素を届ける必要があります。このため「血行促進」が育毛対策にとっての至上命題であり、育毛剤の多くは「頭皮の血行を促進」させるためのヘアケアグッズと考えてください。
しかし、頭皮の血行を悪くする原因には
- 年齢
- ストレス
- 生活習慣の乱れ
- 睡眠不足
- 肥満
- 糖質制限やファスティングなどの誤ったダイエット
- 肌に合わないヘアケアグッズを使う
などいくつもの要因がありますので、育毛剤を使用するだけでなく、生活習慣の改善やストレスケアもしっかりと行うようにしてください。
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