近年AGA(男性型脱毛症)専門のクリニックが増えたことでもわかり通り、AGA患者の数は年々増加傾向をたどっています。
AGAの治療薬といえば今では多くの男性がその名前を聞いたことがあるであろう「プロペシア」ですね。
このプロペシアとミノキシジル外用薬を併用するのが最新のAGAの標準治療ですが、治療は100%自己負担になるので、薬代だけでもかなりの負担がかかってしまいます。
そこで、飲み薬を安いインド製のジェネリック医薬品「フィンペシア」に変える人もいるのですが、そもそも飲み薬と外用薬を併用するのは意外と面倒臭いと思われている方も多いようです。
ミノキシジルには飲み薬(ミノタブ)があるので、もしかしたらフィンペシアを配合した外用薬もあるのではないか?という疑問をお持ちの方いませんか?
そこで今回は気になるフィンペシアと外用薬について色々と調べてみました。
目次
フィンペシア配合の外用薬はありません
結論からいえば、フィンペシアを配合している外用薬というのはありませんでした。
ミノキシジルには飲み薬と外用薬があるのにどうして?と思いますよね。
でも、ミノキシジルは本来高血圧の治療用に開発された薬で、日本では承認されていませんが、もともとは飲み薬です。
そしてミノタブ(ミノキシジルタブレット)はAGAや脱毛症の治療薬ではなく、高血圧治療薬ロニテン(ロノテン)のジェネリック医薬品なので、AGA治療に用いるというのは本来はイレギュラーな使い方になります。
しかし、副作用の一つに全身多毛症があることが確認されていて、発毛作用を持っているのは間違いなく、AGAクリニックでは医師の管理の元に適切に服用するのを前提として処方されることがあります。
薬としてはミノキシジル外用薬の方が新しいので、ミノキシジルには飲み薬と外用薬の両方が存在しているというわけですね。
フィンペシアとは?
フィンペシアはAGA治療薬ですが、こちらも主成分のファイナステリドは本来、前立腺肥大症やそれに伴う高血圧の治療用に開発された成分で、AGA治療効果は副作用として発見されました。
そして、フィンペシア同様にミノキシジルも高血圧治療薬なので、両者の違いを比較してみましょう。
成分名 | 作用機序 | 薬のタイプ |
---|---|---|
フィンペシア | 5α-リダクターゼの働きを抑制 | 酵素阻害剤 |
ミノキシジル | 全身の血管を拡張する | 血管拡張剤 |
同じように血圧を下げる作用を持つ薬でも効き方が全く異なる薬ということがおわかりいただけると思います。
5α-リダクターゼ酵素について
ここではフィンペシアが作用する5α-リダクターゼ酵素について説明していきましょう。この酵素はAGAの原因物質と言われています。
AGAには脱毛の型によって幾つかのタイプに分けられますが、この「型」は頭皮付近のどの部分に5α-リダクターゼが多く分布しているかによって決まります。
M字脱毛の人は額の生え際に、O字脱毛の場合は頭頂部にこの酵素が多く存在しているということになります。
ところで、酵素には1つの働きしかありません。では、5α-リダクターゼの働きとはどのようなもので、どうしてAGAを引き起このでしょう。
その働きとはテストステロンという男性ホルモンをDHT(ジヒデロテストステロン)という違う男性ホルモンに変異させるという作用です。
テストステロンとDHTについて
酵素と違いホルモンには数多くの働きがあります。テストステロンにも幾つかの働きがあり、その中の一つが「育毛作用」です。
これに対してDHT(ジヒデロテストステロン)は男性の生殖活動に深く関与する性ホルモンです。
男性ホルモンは多くが精巣で作られているので、加齢やストレスでDHTの分泌量が減ると精巣や前立腺の機能が低下し、さらに男性ホルモンの分泌量が減ってしまうという負の連鎖が始まります。
これを防ぐために、脳は頭皮付近のテストステロンを優先的にDHTへと変異させて精巣の機能を維持させようとします。
その結果頭皮付近のテストステロン量が減り、毛根が弱々しくなってすぐに抜けてしまいAGAを発症します。
フィンペシアと外用薬の併用がAGA治療のスタンダード
フィンペシアは5α-リダクターゼにしか作用しない酵素阻害剤なので、副作用が少ないというメリットがあります。対してミノキシジルは血管拡張作用に優れていますが、副作用が出やすい薬なので対AGAには副作用リスクを下げるためにも外用薬の方が適しています。
日本皮膚科学会が策定している最新(2017年度)版の男性型及び女性型脱毛症治療ガイドラインでもフィナステリド(フィンペシアの主成分)内服薬とミノキシジル外用薬の投与はどちらも推奨度Aという最高ランクをもらっている治療法です。
フィンペシアの効果
日本におけるプロペシアの治療効果は約70%と言われています。これは薬の効果としては高い方ですが、海外の文献では98%に達するところもあります。
フィンペシアは日本では未承認の薬ですが、基本的には国産のプロペシアジェネリックと性能は変わりません。
では、どうして日本と海外ではこれほど効果に差が出てしまうのでしょう?
その理由はAGAの治療が始まる年齢の差だと考えることができます。
日本人のAGA発症リスクが急激に高まるのは50代以降ですが、海外ではすでに30代でも日本人の50代並みに高いリスクを抱えていると言われています。
フィンペシアは50代以降よりも30代までの方が効果のでやすい薬なので、日本人に比べるとAGA治療を開始する年齢の早い欧米人の方が効き目が高いということになります。
フィンペシアの副作用
日本国内のエビデンスではフィナステリドの副作用で最も多いのはリビドー(性欲)の低下でおよそ1.1%、ついでED(勃起不全)の0.7%〜0.8%です。
ただし、もともと血圧を下げる作用がある薬なので、何らかの病気で投薬治療を受けている人は注意が必要です。
特に心臓疾患と高血圧を伴う疾患で降圧剤を飲んでいる人は要注意なので、持病があり治療を受けている人はそのことを処方医に告げてください。
またごく稀ですがフィンペシアに対するアレルギー症状(アナフィラキシーショック)を起こし、全身浮腫、全身湿疹、頭痛、悪心嘔吐、呼吸困難などの重篤な副作用を起こすケースがあります。
ただし、もともと副作用リスクが低い薬なので過度の心配は無用です。
フィンペシアと外用薬についてのまとめ
フィンペシアはAGAの原因物質(5α-リダクターゼ)を抑制し、症状の進行を遅らせるための薬です。
これに発毛効果のあるミノキシジル外用薬をセットで使うのがAGA治療のスタンダードな治療となります。
フィンペシアは触れただけで皮膚から吸収されていく薬なので将来的にフィンペシアの外用薬が開発されるかもしれませんが、今のところは飲み薬しか存在しません。
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