AGAの治療を受けた時、ほとんどの医療機関では治療薬としてプロペシア(もしくはフィプロペシアジェネリック)が処方されます。
日本皮膚科学会が策定している2017年度版(最新版)の「男性型および女性型脱毛症の治療ガイドライン」でもフィンペシア内服治療は最高ランクの推奨度Aを獲得しています。
しかし、AGA治療は全額自己負担の自由診療なので、毎月の薬代負担だけでも軽くしたいという方はインド製のプロペシアジェネリック「フィンペシア」をネット通販で購入する方も多いようです。(フィンペシアは日本未承認薬です)
フィンペシアは副作用リスクも少ないとても優秀な治療薬ですが、「女性」というキーワードと結びつくと幾つかの注意点が出てくるので、今回は知られざるフィンペシアと女性との関係性について紐解いていきましょう。
目次
フィンペシアとは?
フィンペシアはインドの製薬会社大手「シプラ社」が開発、販売しているプロペシアジェネリックです。
インドは世界でも有数のジェネリック医薬品大国で、フィンペシア以外にも数多くのジェネリック医薬品を製造しており、品質も高く「国境なき医師団」も採用しています。
新型のフィンペシアは使用禁止成分のキノリンイエローという着色料が入っていないタイプで、現在はこれが日本で入手可能な海外製フィンペシアジェネリックの主流です。
効果について
AGAは進行性なので、治療を始めるとずっと継続していかなければなりません。したがってフィンペシアも継続して飲み続けることが前提です。(推奨されているのは6ヶ月以上)
フィンペシアは日本未承認薬ですが、先発薬のプロペシアを1年間服用した結果、 AGAの治療改善効果を得られたという国内のデータは70%近くに達しています。
これは非常に高い治療効果を持つ薬ということになります。(海外のデータでは98%に達しているところもあります。)
フィンペシアと男性ホルモン
フィンペシアが作用するのは頭皮や前立腺付近に多く存在している5α-リダクターゼという酵素です。この酵素には育毛効果を持つテストステロンという男性ホルモンを、DHT(ジヒデロテストステロン)という異なる男性ホルモンに変異させる作用があります。
AGAは20代でも10%近い発症リスクがある皮膚疾患ですが、年齢を重ねるごとに発症率が上昇し、50代以降になると患者数が急増します。
これは加齢による基礎代謝の低下から男性ホルモン全体の分泌量が減り、頭皮付近のテストステロンの多くがDHTに変異させられていることを示しています。
フィンペシアを服用すると副作用で女性化する?
では、どうしてテストステロンはDHTに変異してしまうのでしょう?それはDHTが主に生殖活動に関与している性ホルモンだからです。
男性ホルモンは主に精巣で作られます。精巣は生殖器官なのでDHTの量が減ってしまうと、精巣や前立腺の機能も低下し、自律神経失調状態を引き起こす可能性があります。
人が生きていく上で毛髪問題というのは優先順位が低いので、脳は積極的にテストステロンをDHTに変換させるための指令を出すのです。
ところが、フィンペシアを使うと今度はDHTの量が減ってしまいます。多少減ってしまうのは問題ありませんが、減りすぎると男性の女性化現象が発生する危険性が高まります。
男性版の更年期障害と言われているLOH症候群の症例の一つに女性化乳房というのがありますが、これも男性ホルモンが減った結果、相対的に女性ホルモンが優位になり、乳腺が発達して乳房が膨らんでくるというものです。
副作用について
フィンペシアの作用によってDHTが減少すると起こるのは男性の女性化だけではありません。と言ってもこの薬は副作用が起こるリスクが比較的少ないので、国内のエビデンスでは副作用で女性化したという報告はありません。(国際的にみても女性化乳房は0.01%以下です)
最も多い副作用は性欲の低下で発症率はおよそ1.1%、次いで多いのはEDで0.7%〜0.8%です。それ以外の副作用は0.1%以下なので過度の心配は無用ですが、どちらの副作用もDHTの減少が少なからず関与している可能性が高いという点は興味深いと思います。
女性はフィンペシアに触るのも禁忌?
フィンペシアは触れただけで皮膚から吸収されていく薬です。生殖機能が未発達の胎児や新生児がフィンペシアの影響で生殖器官に深刻なダメージが残る危険性があると注意喚起がだされているので、妊婦や授乳中の女性はAGA治療薬には極力触れないようにしてください。
フィンペシアが女性ホルモンに与える影響とは?
フィンペシアが作用するのは、男性ホルモンを変異させる5α-リダクターゼという酵素です。酵素には一つの働きしかないので、フィンペシアが女性ホルモンに直接影響を与えるということはありません。
したがって女性型脱毛症(FAGA)に対しては効果がないということになります。
フィンペシアの効果が実感できるまでの期間
AGAの治療には長期的な視野が必要です。フィンペシアを服用しても実際に治療効果が実感できるまでには6ヶ月以上の継続投与が必要とされています。
効果をより確実にするには1年以上の服用が必要と言われています。ただし、AGAを長らく放置して完全脱毛を起こしてしまった場合は服薬治療では毛髪は再生しません。
早期発見と早期治療がAGA改善には必須なのです。
飲み方について
プロペシアにはフィナステリドの含有量が0.2mgと1mgの2種類ありますが、フィンペシアは1mgになります。
通常AGAの治療で使われるのは1mgなので、問題はないでしょう。服用方法は1日1回1mgです。
フィンペシアは錠剤なので、コップ1杯以上の水またはぬるま湯と一緒に噛まずに飲み下してください。食事やアルコールの影響をあまり受けない薬なので飲むタイミングは自由ですが、血圧を下げる作用があり、場合によっては副作用で眠くなる可能性もあるので、夕食後や寝る前に飲むのがベストだと思います。
一度服用して眠気を感じた場合は日中に服用するのを避けた方が良いでしょう。
フィンペシアと女性についてのまとめ
フィンペシアを飲むと副作用で男性が女性化するというのはあくまでも、可能性の話であって現実的ではありません。もしフィンペシアを服用して女性化乳房などの女性化が発生した場合はAGAだけでなくLOH症候群(男性版更年期障害)を発症している可能性が疑われます。
また女性がフィンペシアを扱う際には本文にもあるように、FAGAの治療効果はありませんし、皮膚から浸透して何かと面倒臭い問題を引き起こす可能性があるので、極力薬には触れない方が良いでしょう。
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