平成最後の冬、みなさんはどうお過ごしでしょうか?友人たちとアクティブに、恋人とまったりおうちデート、家族で大掃除…どれも魅力的ですが、読書でちょっと気分転換というのはいかがでしょうか。その中でも今回は誰もがキュンキュンできるであろう恋愛小説を年代別に一挙ご紹介します!
目次
おすすめの恋愛小説~10代編~
若さ真っ盛り!恋愛経験はまだ少ないけど、恋愛への憧れは止まらない、そんな青春真っ只中の10代のあなたにはこちらがおすすめ!
『親指の恋人』 石田衣良/著(小学館文庫)
世界的な外資系企業の社長をしている父親を持つ大学生の澄雄と、低賃金の工場と出会い系サイトのサクラをして日々生活しているジュリア。ともに20歳でありながら、社会的格差のある二人が出会い系サイトで出会い、どんどん惹かれあっていきます。しかしやはり双方の親から反対され、駆け落ちを考えていた矢先、ジュリアの父親が病に倒れます。そしてそのことをきっかけに、二人の間はぎこちなくなっていき…。
現代版ロミオとジュリエットのような設定のお話。やはり大切な人ができると人間はいくらでも変わることができるのだと思える一方で、住む世界が違えば一旦できた溝を埋めるのは難しいものなのかと考えさせられます。もしあなたがこの主人公たちのような立場だったらどのような選択をするでしょうか?ちょっと重い…と感じる人もいるかもしれませんが、10代という多感な時期だからこそ考えてみてほしい内容です。
おすすめの恋愛小説~20代編~
学生から社会人へ、環境が変わりまた一歩大人へと歩み始める20代。色々な壁にぶつかりながら、自分のことだけではなく仕事や家族、恋人などのことも考えなくてはいけない、そんな疲れの溜まったあなたにはこちらがおすすめ!
『エンキョリレンアイ』 小手鞠るい/著(新潮文庫)
主人公の花音は22歳の誕生日に出会った男性・海晴に直感的に惹かれるも、彼はアメリカへと旅立つことに。花音は彼への気持ちを抑えきれずに出発前の空港へ向かい、そこから二人の遠距離恋愛がスタート。電話やメールのやりとりで愛情を深めていく二人ですが、遠距離恋愛特有の距離と時差に阻まれ、不安や心配が募ります。そして些細なすれ違いが大きな亀裂へ発展。12年後の再会で二人の未来はどうなっていくのか…
海晴からのメールと花音の近況でお話が進むので、読みやすい文体になっています。海晴の状況がわからないため、様々な想像をしたり海晴からのメールに一喜一憂したりと、花音と一緒に心が動かされている感覚になります。遠距離恋愛を経験したことがある人なら強く共感できるでしょうし、遠距離恋愛を経験したことのない人でもその展開にページをめくる手が止まらなくなる一冊です。
おすすめの恋愛小説~30代編~
仕事も重要な立場になってきてる一方で、プライベートも充実させたい…でもなかなか忙しくて自分の時間なんて作れない。そんな30代のあなたにはこちらがおすすめ!
『きみはポラリス』 三浦しをん/著(新潮社)
三角関係や同性愛、片想い、禁断の愛など難しい愛のかたちがテーマになった短編集。そのかたちに捉われない独特な世界観が非日常的でもあり、日常生活の些細な出来事を切り取っている点ではごく身近に感じる部分もあり、何度も読み返したくなるような一冊です。一風変わった設定のお話が多いですが、どのお話にも共通しているのは「普通の恋愛なんて存在しないけれど、特別な相手への愛そのものは普遍的である」ということ。
社会に出て様々な経験をし、学生時代よりも深く物事を考えることができるようになっているとしたら、この短編集の一つ一つに理解・共感できる点があるかもしれないし、また新たな世界が広がるかもしれません。短編集なので、忙しいあなたでも読み進めやすいでしょう。
おすすめの恋愛小説~40代編~
恋愛というものからは少し離れてしまったけれど、久ぶりにあの甘く切ない感情を抱いてみたい、そんな40代のあなたにはこちらがおすすめ!
『ハチ公の最後の恋人』 吉本ばなな/著(中公文庫)
霊能者の祖母が遺した予言通りに、インドから来た青年・ハチと巡り合ったマオは、彼の「最後の恋人」になります。しかしハチは将来インドの山奥に入り、俗世から離れて修行することが決まっており、マオとの甘い生活もたった一年という限られたものでした。物語は情緒的になるわけでも、悲壮感を漂わせるわけではなく、淡々と2人の生活と心の在り方を追っていきます。運命に導かれて出会い、確実に訪れる別れまでを二人だけで過ごす時間。魂の邂逅を描く愛の物語です。
出会いがあれば別れもあると言いますが、その別れを覚悟したうえで、共に過ごせる時間を大切に過ごしていこうとする二人の姿が儚くも輝いています。さらに吉本さんの美しい文章がその世界観を引き立たせていて、誰かに恋をするってこういう感じだったな、と思い出させてくれる一冊です。
おすすめの恋愛小説~50代編~
毎日刺激を求めていた若い頃とは異なり、静かで落ち着いた日々を過ごしている方も多いのでは?まだまだ人生これから、という50代のみなさんの生活に刺激を与えてくれる、おすすめがこちら!
『すべて真夜中の恋人たち』 川上未映子/著(講談社文庫)
34歳のフリーで校閲の仕事をしている主人公・冬子。彼女は自分の誕生日に、真夜中の散歩をすることを楽しみにしていました。淡々と日々を送り恋愛も結婚も、遊びもない静かな日常生活を送るだけだった冬子が、三束という58歳の男性に会い、徐々に魅かれ合うことによって、彼女の世界が揺らいでいきます。冬子が今までにないほど純粋に、人に思いを寄せ、それを相手にぶつけるという部分には、読者を引き込む勢いがあります。もしかしたら、誰もが一度は経験したことがあるかもしれません。
物語には、恋愛だけでなく人生そのものにも通じるテーマを感じさせます。全体的に心理描写が美しく、冬子も、聖も、典子も、それぞれがどこか、誰かに似ているのです。読んでいて、共感せずにはいられない大人向け恋愛小説です。
おすすめの恋愛小説~番外編~
ここまで年代別におすすめの恋愛小説をご紹介してきましたが、番外編として海外作家さんのおすすめの一冊をご紹介します。
『はつ恋』ツルゲーネフ/著(新潮文庫)
16歳の夏、モスクワ市内にある湖のほとりの別荘で両親と暮らしていた主人公・ウラジーミルは、隣に引っ越してきた年上の少女・ジナイーダに恋をします。彼女は色っぽい女性ですぐに男性から好かれ、好意を寄せてくる「崇拝者」たちを弄んで楽しんでいました。そんなジナイーダの勝手な振る舞いにも恋心が募るウラジーミル。ところがある日、ジナイーダの様子が変化していることに気が付きます。誰かに恋をしているせいだと考えたウラジーミルは、嵐の晩の日に、手にナイフを忍ばせながら、ジナイーダの恋の相手を確かめようと待ち伏せします。するとそこに現れたのは、なんと…。
主人公が嫉妬心や猜疑心にからめとられ、あらゆる感情が発露していく様は、非常に人間味があり、もはや共感を覚えます。またジナイーダの女王様っぷりが堂に入っていて、なんだか可愛らしく見えてしまうのが困ったところ。恋をして少女から女性に変化していく姿からも目が離せません。恋が人を変えるというのはまさにこのことでしょう。ウラジーミルとジナイーダの初めての恋。どこか哀愁の漂う、名作たる海外恋愛小説です。
《おすすめの恋愛小説》おわりに
いかがでしたか?みなさんの年代や気分にぴったりの小説は見つかったでしょうか?スマホやタブレットで電子書籍を読むのも良し、本屋さんで実際に書籍を手に取ってみるもよし!今回ご紹介した恋愛小説でみなさんの冬が少しでもほっこりすれば幸いです(^^)♪
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